球春到来。2018年東京六大学野球春季リーグ戦が先月、開幕した。慶大は昨年の秋季リーグの優勝を勢いに、今シーズンも明治神宮野球場を舞台に暴れ回る。慶大はここまで全戦全勝の首位。2季連続の優勝へ幸先良いスタートを切った。
第1週の東大戦では2試合あわせてわずか1失点。慶大自慢の投手力が結果を残した形だ。しかし、慶大の大久保監督は試合後、「エラーや四球など、必要外のランナーを出していることが課題」と語った。試合結果に満足せず、内容にこだわっていた。
第3週の法大戦では、2試合とも法大に先制を許し、前半は苦戦を強いられる展開であった。しかし後半はピンチの場面でも、髙橋亮(総3)と石井(商3)の連日に渡る好リリーフが光った。試合後、髙橋亮は「大変な場面での登板で緊張した」と心境を語った。石井も「相手を抑えることだけ考えて、全力で投げた」と自身の投球を振り返った。
打線も粘りを見せた。リーグ最少である一打数あたりの三振の割合(0.121)に見られるように、今季は簡単には打ち取られない。最後まで諦めない意識がチーム全体に浸透している。
昨季、絶対的4番に君臨した岩見(現東北楽天)が抜け、長打力不足を心配する声もあった。「岩見だけのチームではない。全員でカバーしていきたい」と大久保監督は話す。実際、嶋田(環2)が頭角を現している。打率は主砲・郡司(環3)とともにチーム内で首位(0.353)。打点に至ってはリーグトップ(8打点)の成績だ。「今年は岩見さんと清水翔さんがいない。何とかチームの力になりたい」と嶋田は話す。
1年生では、正木(政1)への期待が高まる。慶應義塾高校では通算50本もの本塁打を放ち、ドラフト候補にも挙げられた。東大1回戦では代打で初出場。正木は「緊張した。力まないように気をつけていた」と感想を述べた。翌日にも代打で出場。あわやホームランという二塁打を放ち、公式戦初安打を飾った。試合後のインタビューでは、「自分は長打力が持ち味。今季は代打が多いと思うが、何とかチームに貢献したい」と力強く語った。
正木だけではない。橋本典(環1)は東大1回戦で8回裏から代走で出場し、二盗を決めた。9回には初打席が巡り、一、二塁間を抜ける初ヒットを放つ。福井(環1)も同日に8回から代打で初出場。直球をライト前に綺麗にはじき返した。期待の新戦力の活躍がチームを盛り上げる。
新しい選手、新しいチーム、新しい戦い。今年も野球部が繰り広げる戦いから目が離せない。
(椎名達郎)
(注)この記事の情報は2018年5月1日現在のものです。