夕日が背中を押してくる。日の当たる穏やかな日中とは反転して、強い北風が私たちを冷やす。どんな人だろうか、と寒さと緊張でゾクゾクしながら待っていると、彼女は現れた。こんなに寒いのに嫌な顔ひとつしない。落ち着いた語り口は私たちをほっとさせた。夕日が沈むにはまだ早い。

松村英奈さんは文学部の1年生。これから専攻に分かれるにあたって、東洋史を学びたいという。「ちょっとしたきっかけですが、幼稚園の時、ディズニープリンセスのジャスミンが好きで、周りの宮殿などを見るようになりました」と話す。過去にはウズベキスタンに旅行し、実際に見た美しい建築に魅了されたという。またアラビア語の授業を取っており、「難しい」と笑いながらも熱心に学んでいる。楽しげに話す彼女の目には、水晶のような澄んだ輝きがあった。

彼女の輝きはこれだけではない。大学に入ってから室内楽サークルでチェロを始めた。ピアノ・ガイズや2CELLOSの曲を聴き、チェロの音色が彼女にベストマッチしたのだという。大学以前からピアノを弾き、音楽に親しんでいたものの、チェロは初心者にとって簡単ではない。それでも新しいことに挑む彼女は今、進化を遂げているのだろう。そしてもう一つ、彼女はジャズダンスにも取り組んでいる。幼稚園の時から習ったバレエと中高の部活で、もともとダンスに親しみがあった。特にしなやかでゆったりとした動きが好きなのだという。これほど多くのことに没頭しながらなんとバイトを2つもこなす彼女。夜遅く帰ることもしばしば。目一杯枝葉を広げて光を浴びる木のように、様々なことに取り組むことが彼女の輝きを作る一因なのである。




今後やりたいことは何か聞いてみると、「もっと海外に行きたいです。いろんな国に行きたくて、南米とかインドとかにも。世界遺産を見るのが好きなので」と教えてくれた。大学生活まだまだこれから、広い世界に飛び立っていくのだろう。

では彼女の最高のパートナー像はどんなものなのか聞いてみた。すると「明るい人が好きです。楽しい気分にさせてほしい」と答えてくれた。自分から話しかけるのが苦手だからだそうだ。意外な悩みが垣間見られた。

東洋芸術、音楽、ダンス…美に惹かれる彼女自身にも、好きなことに打ち込むという「内なる美」があった。
さよなら太陽。すてきないい日だった。

(可燃ゴミダ―)

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