10月某日現在、記者が何よりも公開を待ち望んでいる作品が1つある。それは10月27日公開の『ブレードランナー2049』である。主演を務めるのは『ラ・ラ・ランド』で主演を演じたライアン・ゴズリング。同作品は1982年公開の『ブレードランナー』の続編である。公開当時、同作は興行的にいわゆる「大コケ」をした。しかし、後にその独特の世界観や設定などに惹かれる人が続出し、映画好きの間で現在でも「カルト映画」として絶大な人気がある。
その『ブレードランナー』に大きな影響を受けたのが、大友克洋監督の1988年公開の映画『AKIRA』だ。同じく映画好きの間で現在もカルト的人気を誇る作品だ。
舞台は『ブレードランナー』と同じ2019年。東京は1988年に第3次世界大戦によって滅びたが、2020年には東京五輪が開催されるまでに復興を遂げ、新たにネオ東京として生まれ変わった。そんなネオ東京で、本作の主人公・金田は幼馴染の鉄雄と共に高速道路をバイクで飛ばしていた。その時、突然目の前に老人のような顔をした奇妙な子供が現れ、鉄雄は転倒し負傷してしまう。そこに軍用ヘリが現れ、26号と呼ばれるその奇妙な子供とともに鉄雄は連れ去られる。
翌日、金田は反政府ゲリラのメンバーである少女・ケイと出会う。彼女は政府が隠しているとされる超能力「AKIRA」の秘密を追っていた。一方その頃、運び込まれたラボで目を覚ました鉄雄は金田のバイクで逃走していたが、不運にも暴走族に襲われてしまう。
金田に助けられた鉄雄は、襲った暴走族の男を半殺しする。止めようとする金田に対し「命令するな」と叫ぶと、突然鉄雄は頭を抱えだし、再び叫びだした。明らかに様子がおかしい鉄雄を心配する金田だったが、鉄雄は再び軍と思われる組織によって連れ去られてしまう。
その後、鉄雄は超人的な力を身につけ、「AKIRA」を求めネオ東京の街を破壊し回る。鉄雄を止めようとする金田とケイ、しかしそれがかなわず鉄雄はついに「AKIRA」と接触してしまう。政府がひた隠しにし続けてきた「AKIRA」の正体とは……。
同作品は製作期間3年、総製作費10億円を投入して作られた当時としては前代未聞の大作だ。この映画の影響で『攻殻機動隊』などのSF漫画が作られたといっても過言ではない。
そして近年注目を集めているのが、この映画が2020年の東京オリンピック開催を予言していたのではないか、ということだ。ほかにも劇中では税制改革の失敗、原子力災害のようなものも描写されている。世界でもカルト的な人気を誇るこの映画は、観ずに死ねるか死なずに観るか、そのような1本だと言える。
(村井純)