弱冠19歳。大学生映画監督として活躍する塾生がいる。総合政策学部2年の松本花奈さんだ。
17歳で撮影した映画 「脱脱脱脱17(ダダダダ セブンティーン)」は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で審査員特別賞と観客賞を受賞した。最近では、アイドルグループHKT48の新曲「キスは待つしかないのでしょうか?」のミュージックビデオの監督を務めたことでも話題を呼んだ。多彩な才能を発揮する彼女に、映像制作活動について話を聞いた。
彼女がカメラを持ち始めたのは中学時代のこと。実家近くの劇団で子役をやっていたが、一から作品に携われる裏方の仕事に魅せられるようになった。高校時代から学外の映像制作団体に所属し、大学生になった今も映像制作を続けている。
高校生最後の長編作品として撮影した「脱脱脱脱17」は、高校生活17年目のおじさん高校生と17歳の女子高校生が逃避行するというもので、普通の高校生が思いつくような内容ではない。斬新なアイデアはどのようにして生まれてくるのか。
「最初に考えるのはストーリーではなくビジュアルです。伝えたい、または面白いと思う、一つの大きなポスターを考えています」と彼女は話す。核となるのは、接点のないもの同士を組み合わせること。今回でいえばおじさんと女子高生だ。そこからストーリーを肉付けしていき映画が完成する。
松本さんがこれまで制作してきた映画は自主映画であり、仕事でもないし、お金も発生しない。そんな自主映画を作る上で大変なのは、映画を作ることへのパッションと同志との信頼関係だという。
過去の失敗談も話してくれた。「撮影のためにごみ屋敷を作りたいというと、友人が家を貸してくれました。リアルさを 求め、家の周囲からごみを拾ってきて完成しましたが、友人は潔癖症。本物のごみを使うことは想定外だったそうで、謝罪しまくりました(笑)」
松本さんには死ぬまでにやりたいことがある。 ポカリスエットのテレビCMの撮影だ。水色、海、夏、青春。そういったテーマを好み、撮影してきた彼女にぴったりだ。
最後に慶大生、そして慶大受験生にメッセージをもらった。「高校時代、将来のことについて悩んでいました。大学でも新たな悩みはあるはず。でも慶大にはいろんな人がいますし、コミュニティも広く、視野も広がる。入ってよかったと思っています。私自身、周りのSFC生から刺激を受けることが多く、そんな仲間や関係性を築くことが大切だと思います」
様々な刺激を吸収し進化を続ける松本さん。今後の活躍から目が離せない。
(城谷陽一郎)