今年5月、慶大生による慶大生のための交換留学支援団体が発足した。9月現在、たった4カ月足らずで参加者はおよそ4‌0‌0人。短期間でここまで大規模な団体へと成長したのはなぜなのだろうか。幹部の鯨井悠生さん(理4)、森田麻菜美さん(政4)、神津由美子さん(政4)に話を聞いた。

そもそもこのプロジェクトは学生が大学側に対して、交換留学を行う生徒へのサポートが不十分なのではないか、と感じたことがきっかけで誕生した。だが幹部の学生は全員、自身の留学準備や就職活動を行っており、多忙な中でのプロジェクトの立ち上げだった。また設立当初は、メンバー間での運営方法に対する意見の食い違いもあったそうだ。しかしながら、これから交換留学を考える学生を一歩後押ししたいという思いは一致していた。

将来の夢が人それぞれ異なるように、留学先の大学も多種多様であっていいはずだ。アメリカ・カナダ・イギリスといった英語圏にとどまらず、個々の学生の学びたい分野に合わせてヨーロッパやアジアの大学にまで選択肢を広げることで、個人にあった留学プランの提供に努めている。

かつてはウェブなどに公開されている「留学報告書」でしか留学経験者の先輩とコンタクトを取ることができなかった上、連絡先の記入も任意であったため、生の声を聞ける機会はほとんどなかった。その点を改善するために、プロジェクトのLINEのグループには留学を経験した人も参加をしている。ノート機能を活用し、自身の留学先での体験談や留学準備のために行ってきたことを書いてもらうことで、これから留学を考える学生がより具体的な情報の収集をおこなうことができるほか、留学経験者に直接コンタクトを取り、相談などをすることも可能だという。

さらに、交換留学を考える学生の多くが心配していることに、1年間留学へ行くことが将来のキャリアや就職にどのように影響するのか、留学志望先のTOEICやIELTSのスコアを満たすことができるのか、ということがある。こういった学生の不安を解消するために、留学生支援プロジェクトでは定期的に様々なイベントを催している。最近では交換留学を学生時代に実際に経験し、社会人として現在活躍している塾員による講演会が開催された。就職活動や実際の仕事の現場で、留学を通じて得られた経験がどのように活かされているのか、といった話を聞くことができる。こうした講演の後には必ずアンケートを取り、学生のニーズを図ることも忘れていない。

設立から4カ月。留学先の大学の受け入れの結果が発表されるのは秋以降で、勝負はまだまだこれからである。これからも持続可能な活動にしていくために、新たな取り組みも検討しているそうだ。今後の活動に期待したい。
(中森葵)