最近街中で「BAKE CHEESE TART」という店を見かけたことはないだろうか。新宿、自由が丘などの駅を利用している人なら、おそらくこの店のチーズタルトを目にしたことがあるだろう。そんな話題の「株式会社BAKE」代表取締役社長、長沼真太郎氏に急成長の秘密を聞いた。
 
長沼氏は北海道出身で、高校卒業後に上京して慶大商学部に進学した。学生時代は学業よりも起業サークルに入るなど、ビジネスに対して非常に興味があり、周りの仲間から刺激を受けていたそうだ。2年生の頃には自分で会社を立ち上げたといい、その恐るべき行動力にはただただ脱帽するばかりである。
 
大学卒業後は1年間総合商社の丸紅で働いた後、製菓業界に飛び込んだ。元々父親が製菓会社の創業者ということもあり、幼少期からお菓子に関わる仕事をしたいと考えていたという。そして、紆余曲折を経た後に“IT×お菓子”のスタートアップを創業した。元々はデコレーションケーキをアプリやオンラインで簡単に購入できる「クリックオンケーキ」の事業が創業のきっかけだったという。

「BAKE CHEESE TART」はチーズタルトのみを販売している。そこには何か戦略があるのかと尋ねたところ、父親の会社で店長をやっていた頃、以前まで冷やして販売していたチーズタルトを焼きたてで販売したことで、人気商品へと育てた経験をあげた。このことから誰よりも手間をかけ、原材料にこだわり、フレッシュな状態で提供することで商品をより美味しく、より魅力的にできると考え、現在の1ブランド1商品というコンセプトが出来上がったという。これは商品の廃棄率や人件費率においても有益で、その分店舗・パッケージデザイン、出店立地などに注力し、非効率なものに投資することでここまで急成長することが出来たそうだ。さらに、異業種の人を採用する、国内で人気になるのと同時に海外進出するなど、徹底的に製菓業界では類のないビジネスモデルにこだわったこともヒットの大きな理由である。
 
長沼氏は、「慶應はスタートアップ志向の高い学生が集まっているように感じる」と語った。慶應での繋がりも、「BAKE」成功の秘訣だったのかもしれない。
(今津優香)