今年度より慶應義塾創立150年記念奨学金が創設。伝統ある慶應義塾大学奨学金、昨年度より始まった家賃補助制度とならぶ大規模な塾内給付奨学金が始まる。今まで以上に充実する塾内の給付奨学金は、それぞれどのような特徴を持っているのだろうか。
慶應義塾創立150年記念奨学金は、学部生の全学年を対象とし、毎年総額2億円、採用総数800人を予定している塾内給付奨学金である。新設の趣旨は、塾生が経済状況にかかわらず学習に専念し、国際的な学習機会に参加できるよう経済的に支援すること。①海外学習支援②経済安定支援の2種類がある。
①海外学習支援のねらいは、海外で学習経験を積みたい学生に経済支援をすること。留学を始めとして、語学研修、海外インターンシップ、海外フィールドワーク、国際学会発表など、広範囲にわたる海外体験を奨励する。
②経済安定支援のねらいは、塾生が経済状況にかかわらず学業に専念できるよう経済支援をすること。既存の奨学金との違いは、趣旨として「継続支援」を盛り込んだ点である。
①、②ともに審査では家計状況を重視。②では家計が年収・所得額や世帯の構成、通学形態、授業料などから総合的に判定される。給付期間は1年間だが、毎年の申請・審査により継続採用が可能だ。
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慶應義塾大学奨学金は成績優秀な塾生約800人を対象に毎年総額1億8000万円を給付。1976年創設の歴史ある奨学金だ。
慶應義塾創立150年記念奨学金が経済支援型であるのに対し、慶應義塾大学奨学金は育英型。よって慶應義塾大学奨学金の審査では学力判定および作文が重視される。
昨年度から始まった家賃補助制度は、学部生1600人を対象とする、予算総額2億円の生活支援である。首都圏以外の道府県出身、または首都圏であってもきわめて遠距離な地域の出身で、自宅外の賃貸住宅から通学していることが採用の条件だ。
家賃補助制度には家計支持者の年収制限もある。慶應義塾創立150年記念奨学金では家計状況が総合的に審査されるのに対し、家賃補助制度で家計判定の基準となるのは家計支持者の年収のみだ。
今回の慶應義塾創立150年記念奨学金の新設により塾内の給付奨学金は、学部生を対象に総額7億円超、総数3800人規模、大学院生を対象に総額5億5000万円超、総数1100人規模となる。
全ての人に学問の機会を提供したい。150年の時を経た今、福澤先生の遺志はいっそう強く受け継がれている。
(小柳響子)