GPA制度とは、定められた算出方法によって学生の成績を数値化する制度だ。文科省の調査によれば、日本においても導入する大学が年々増加しており、全体の72%に達する。慶大も来年度春学期からいよいよ制度導入に踏み切る。
現在、慶大はいくつかの研究科を除いてABCDの4段階評価を採用しており、成績が数字に換算される全塾共通の仕組みはまだない状況だ。今回導入するGPA制度では、SABCDの5段階評価が用いられる。Sを4.0、Aを3.0、Bを2.0、Cを1.0、Dを0.0(不可)として計算し、合計を科目数で割った数字が成績表に明記されることになる。
新制度に伴う大きな変更点として、履修登録取消制度も導入される見通しだ。この制度では、一度履修登録をした科目であっても指定の期間内、ルールに則った履修登録取消が可能になる。授業が自らのレベルに合わなかった場合や期待していた内容にそぐわなかった場合などの履修計画の変更に対応するための措置として導入される。
ただし、以上の制度変更は本質的には来年度の新入生から実効性を持つことになる。在学生は成績標語こそ5段階に変わり履修登録取消も可能になるものの、今年度までの成績は4段階評価のまま扱われる。つまり、成績表には今年度までの4段階での評価と、来年度からの5段階での評価が混在して表示されることになる上、GPAは算出されない。原級した場合にも同様である。
これまで成績評価方法は学部、研究科ごとに異なり、他学部の学生と成績を比較することが難しかった。GPA制度は全塾共通の指標となり、不揃いだった評価基準を平準化することが期待されている。さらに、来年度の新入生からは不可となった科目も成績証明書に記載されるため、今まで以上に塾生が勉学に励む効果も見込まれる。
今後、GPAはこれまでと同様に派遣交換留学の選考や奨学金受給者の選考などで使用される予定だ。以前は4段階評価のまま算出した数値を用いていたが、制度導入により国際標準化が図られる形だ。その他の具体的な運用方法は各学部、研究科に一任される。他大では個別の学修指導に用いられており、慶大でも検討が進められている。
在学生が受ける影響は少ないものの、履修登録取消制度の導入など履修制度の変更が予想される。詳細は来年度の履修案内に掲載される予定だ。