全塾協議会塾生代表選挙が告示された。今月12日から16日までの5日間、日吉、三田、矢上、SFC、芝共立、信濃町の各キャンパスで投票が行われる。来年度から新設される塾生代表は、塾生の意見を集約する役割が期待されるため、公約は塾生と密接に関わっている。どの公約が支持を得られるか注目される。

来年度から全塾協議会では塾生代表が新設され、体制が変わる。これを受け、これまで選挙で選出されていた事務局長、次長は全塾協議会内で決定され、代わって塾生代表が選挙によって選出されることになる。以前まで事務局長、次長の仕事は全塾協議会に自治会費を支払っている各団体の監査に偏っていた。局長と別に塾生代表を新設することで、塾生の意見が塾生代表を通して協議会で審議される。塾生代表は全塾協議会の所属団体に在籍していない人も務めることができる。

今回の選挙には村野元紀さん(商3)、大庭集平さん(商3)、****さん(**)の3名が立候補した。この中から1名を選ぶ選挙となる。投票率が合計で10‌%を越えない場合は再選挙になる。一昨年の選挙では投票率が9.67‌%と10‌%を下回り再投票になるなど、毎年投票率の低さが課題となっている。

投票率向上のための対策として、「選挙不成立時のマイナス面を強調して投票を呼び掛けるのではなく、今回の選挙は、塾生生活をより良くするための選挙であるというプラス面をアピールしたい」と選挙管理委員会委員長の高橋真彦さん(理3‌)は話す。また、例年通りポスターの掲示やSNSでの情報発信も行い、選挙の認知度向上を図る。さらに、候補者には各キャンパスで投票を呼び掛ける演説を行うことも認められている。

昨年までの選挙では事務局の仕事が多くの塾生には馴染みがなく、公約も塾生に直接関わりのあるものは少なかった。一方、今回の選挙では各候補者の公約に塾生生活との明確な関わりが見られることから、塾生の関心を高め、投票率が上がると期待されている。

選挙の公平性を保持するために、「投票所運営に関するマニュアルを作成する」と高橋さんは話す。昨年4月に検討されたウェブ投票については、個人情報漏洩や不正投票を引き起こす恐れなどから今回の選挙でも行われない。

村野さんは公約として、塾生生活向上に焦点を当てた3点を掲げている。「学問活動の促進」は、メディアの開館時間延長や、教授や塾生が哲学について語り合う哲学カフェなどの設置を行うとしている。また、「サークル活動の支援」として、老朽化の進む塾生会館や日吉キャンパス食堂3階の塾生スペースのリフォームを、「生活環境の向上」として、全キャンパスのトイレにウォシュレットの整備を行うよう大学に働きかけるという。

大庭さんの公約は3点だが、大きな柱となるのは「全塾協議会の運営体制改革」だ。塾生の意見を大学当局に交渉できる体系づくりを行うことで、冷暖房の使用制限緩和や教室利用時間の延長の交渉をするとし、「議会と大学を繋ぐパイプができれば、次の代以降にも塾生の意見が聞き入れられる体制を残せる」と訴えている。「自治会費増額」については、以前から検討されていたが、本当に増額が必要なのかという根本的なところから再度検討するという。

**さんの公約は、全塾協議会の改革が目立つ4点になっている。まず「審議プロセスの明瞭化」として、審議された議論を議事録や議会報にわかりやすく掲載するという。2点目は、全塾協議会および参加団体の活動の周知に尽力すること、3点目は、塾生生活の充実に必要となる自治会費の増額のために、自治会の再設置などを行うこととしている。さらに、「後進のための方向性作り」として、より多くの塾生の意見を反映させるためにも投票率を向上させるよう尽力するという。

どの候補者の公約が支持を集められるか注目される。

(2019年6月6日 個人情報保護のため、記事内容に一部変更を加えました)