東京六大学野球秋季リーグが閉幕、慶大は2位で戦いを終えた。早大から大久保監督就任後初の勝ち点を挙げ奮闘を見せるも、悲願の優勝とはならず。優勝した明大と同じ勝ち点4だっただけに、明大戦での2連敗や、法大初戦でのサヨナラ負けで勝率を落としたことが悔やまれる。
慶大はシーズン序盤は春季と同様、課題であった2試合目の投手が安定した投球をすることができず苦しい投手起用を余儀なくされた。しかしシーズン終盤の法大戦、初戦をエース加藤拓(政4)でサヨナラ負けを喫した後、負ければ優勝の可能性が消滅する背水の陣で挑んだ第2戦では先発の小原大(環4)の復調、今リーグから台頭した菊池(政2)の活躍もあり1敗からの2連勝で勝ち点を奪った。
また、立大戦では好投手の田村、澤田を擁する投手陣を攻略。投手陣も大量援護にも恵まれ好投。昨季勝ち点を逃していた相手に連勝するなど、慶大は終盤投手陣が整備されたことで安定した戦いを見せた。
宿敵早大との戦いは第3戦までもつれる、手に汗握る投手戦となった。勝利した2試合とも大久保監督が理想とするロースコアのゲームを制すなど、春季の戦いでは明大との初戦で接戦をものにできず力負けしただけに、春からのチームの成長を感じられる早慶戦となった。
大エース加藤は現役最多となる26勝、リーグ史上15位となる通算309奪三振を達成するなどドラフト1位指名に恥じない投球を見せた。
加藤は「これだけ下級生から使ってもらったので、もっと勝ちたかった。勝つことでチームに対して僕が返せるものがあったと思う。大学では球のキレ、スピード、変化球などすべての面でレベルアップできたと思う。プロに行っても野球がうまくなりたい、相手を抑えたいという強い気持ちを持ってやっていきたい」と今後の抱負を語った。
1年生ながらリーグ戦全試合にスタメンマスクを被った郡司(環1)は投手陣を好投に導くだけでなくバットでも結果を残した。早慶戦第1戦では決勝の本塁打を放つなど「小さいころから憧れていた」という初の大舞台で元高校日本代表の名に恥じない活躍を見せた。3年後のドラフトについては「加藤さんのドラフトを見てプロに行きたいという気持ちが高まった」と話した。
4番に座った山本瑛(商4)は打率.475で首位打者を獲得。また、慶大で唯一ベストナインに輝いた。
主将の重田はスタメン出場機会には恵まれずベンチスタートが続いたがベンチで誰よりも声を出し、苦しい試合展開でも選手を鼓舞し続けた。大久保監督は主将としての姿を見続け「仲間とぶつかったり批判されることもあったのかもしれないが、慶應の背番号10の重さ、重圧をしっかり感じ取って頑張ってくれた」チームの中心を担った重田を労った。
4年生に対しては「野球はここで区切りをつける選手が多いが慶應義塾で学んだことを活かして社会をリードする人材になってもらいたい」と話した。
(世古宗大士・香西朋貴)