リオデジャネイロ五輪男子4‌0‌0メートルリレーで、日本がアメリカを抜き銀メダルに輝いたことは記憶に新しい。この時、第1走としてチームの流れを作った山縣亮太選手(セイコー所属)は慶大在学中に陸上早慶戦20連敗を阻止した立役者でもある。現在も週4日練習している日吉の陸上競技場で、五輪の活躍を振り返ってもらった。

「自分としては1年ごとに成長していきたいと思っているので、特にオリンピックを意識することはありません。そうはいっても4年に1度の祭典で注目度が上がるからこそ、良い結果を出したいと思っていました」

現在も日吉で練習を行う
現在も日吉で練習を行う

慶大在学中のロンドン五輪から日本代表として活躍していたが、自力で記録を縮めることに限界を感じていた。トレーナーの力を借りスランプを乗り越えたことが今回の結果につながったと語る。

陸上は個人競技が中心だが、リレーは団体スポーツでもある。常に一緒に練習しているわけではないが、3度の合宿で様々なパターンを試して連携を取っていったという。またチームメイトは普段はライバルとして戦っている相手でもあるため、リレーの時はお互いの強さを認め合い良い信頼関係を築いている。今回の五輪でも第4走のケンブリッジ飛鳥選手にバトンが渡った時には、すでにメダルを確信していたそうだ。

山縣選手によると陸上の魅力は「努力がそのまま結果として出てくるわかりやすいスポーツであること」だという。個人競技は結果が自己責任だからこそ、自分の弱さを受け入れて強くなる必要がある。一方で団体競技であるリレーは、プレッシャーが分散することでより楽しみながら走れるそうだ。

試合の規模に関わらず、常に安定したパフォーマンスを意識している山縣選手だが、五輪の序盤はやはり緊張があったという。試合前はこれまでの練習を信じ開き直ることが重要だというが、空き時間には動画サイトで広島カープのハイライトを繰り返し見るなどして気分転換していたそうだ。

東京五輪に向けても一年一年成果を出していくだけと自身はいたって冷静だ。これまで着実に結果を残してきた山縣選手だからこそ、4年後の記録に期待したい。
(小宮山裕子)