2月4日、三田キャンパス 西校舎ホールで「慶應義塾創立150年記念 第5回先端科学技術シンポジウムiPS細胞が切り拓く今後の医学研究」が開催された。
 人間の皮膚細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功したことが報じられて以来、研究が飛躍的に進展し、最近では、安全性の高い「新世代iPS細胞」作製の成功が、再生医療の実現に向けた第一歩として世界的に脚光を浴びている。
 当シンポジウムでは、iPS細胞研究の文部科学省の菱山豊研究振興局ライフサイエンス課課、ヒトの皮膚細胞からiPS細胞の作製に初めて成功した京都大学の山中伸弥教授、幹細胞と神経再生の研究を専門とする慶應義塾大学医学部の岡野栄之教授等、企業、患者さんを代表する団体(NPO)などで本課題に第一線で取り組む人々を講師陣に迎え、今後のiPS細胞研究の方向性を展望した。
 注目を集めた山中教授は、iPS細胞の形成に深く関連があるとされるMycの是非について解析した最新のデータを示し、iPS細胞研究の奥深さを示唆すると同時に、今後の日本における研究課題について語った。また、岡野教授はヒトES細胞、iPS細胞由来の神経幹・前軀細胞移植によるマウス脊髄損傷の運動機能回復の実験成果などを報告した。