夏の風物詩といえば花火だが、慶大に花火を打ち上げることを目的とするサークルがあることを知っているだろうか。慶應花火師会代表の一力丈司さん(環2)に話を聞いた。
慶應花火師会はSFCに拠点をおくサークルだ。もともと独立した団体ではなく、毎年7月に開催される七夕祭の実行委員会から派生した。1997年、日本唯一の学生花火師会として独立。現在慶應花火師会としては創設19年目を迎えている。活動のメインとなるのは今月2日に行われた七夕祭と、毎年10月に行われる秋祭での仕込み作業だ。
慶應花火師会が主に担うのは、花火の生産を行う業者との具体的なプログラム構成の打ち合わせや、打ち上げ当日の準備だ。約1か月前には行政にプログラム構成を提出する必要があるため、その前に業者との打ち合わせを行う。玉を上げるタイミングは、1秒や0.5秒単位の世界だ。打ち上げる際の土台となる筒はまっすぐに置くか、斜めに置くのか。値段や打ち上げる数も調整する。
打ち上げ当日はサークルのメンバーで一致団結して慎重に作業を進める。花火の玉は我々の想像以上に重い。ひとつひとつ丁寧にセッティングし、予定通りのプログラムができるよう配置していく。
準備を進めている中で、一力さんが印象に残ったことは、花火師会免許を取得する際に見た、とある花火事故の映像だそうだ。実際に他で起きた過去の事故映像を観て、危険の伴う作業であることを改めて実感した。その分、初めて自分でプログラムした花火が打ち上がった時の感動はひとしおであった。
最後に、一力さんに慶應花火師会の代表として今後の目標を聞いてみた。「僕は2年間代表を務めることになったので、その中で今までの代表がやってこなかった演出をやってみたい。新しい演出をするときは、行政や学生部に伝えるなど、様々な手続きやチェックが入るため、とても大変な作業になるけれど、それでも何か新しいことをしたい」。そう力強く語ってくれた。
試験を終えれば長い夏休みが待っている。この夏は、何か新しいことに挑戦してみてはいかがだろうか。緻密な努力の先には、大輪の花火が開くことを塾生が教えてくれた。
(青砥舞)