神奈川県の新川崎、山形県の鶴岡に続く3カ所目のタウンキャンパスとして、殿町タウンキャンパスが神奈川県川崎市殿町地区に開設され、4月11日には、慶大と川崎市との間で、研究・教育活動の推進に関する連携協定が締結された。

4 月 11 日に行われた締結式の様子。 清家篤塾長と川崎市の福田紀彦市長。
4 月 11 日に行われた締結式の様子。
清家篤塾長と川崎市の福田紀彦市長。
タウンキャンパスは、日吉や三田などの学部生が通う6つのキャンパスとは異なり、学部が設置されておらず、学部を横断した研究を目的としている。地元や企業と連携して、既存のキャンパスでは実現できないような研究を推進するキャンパスだ。文化や風土の異なる企業や他大学の研究機関などと協力することで、今までとは違うアイディアを生み出し、新しい研究を進め社会に還元していくことを見据えている。




地場産業が盛んな新川崎では、中小企業のノウハウと大学の研究とを産・学連携することを目的としている。鶴岡では自然に囲まれた環境を生かし、生命科学分野の研究が行われている。それに対し殿町タウンキャンパスの最大の特徴は、近年、国際線の離着陸が増えた羽田空港の国際線ターミナルの対岸に位置しているという点である。この地域は殿町国際戦略拠点キングスカイフロントと呼ばれ、ライフサイエンスおよび環境分野での世界最高水準の研究開発を行い、新産業の創出を目指す拠点として川崎市に指定されている。2‌0‌2‌0年には羽田空港と殿町地区との間に橋が渡される予定となっており、空港から徒歩10分ほどで移動が可能になるという。そうなれば海外からの専門家を招きやすくなるなど、スーパーグローバル大学創成支援事業を牽引するキャンパスとなる可能性を秘めている。

殿町タウンキャンパスが入居する建物
殿町タウンキャンパスが入居する建物
殿町タウンキャンパスはこのような立地を生かして国際的なイノベーションの拠点となることを目標としており、健康かつ安心に、人間として幸せに暮らすことができるというウェルビーイング研究が始まっている。医学部や健康マネジメント研究科の研究者を中心に、iPS細胞の研究やサイバーダイン社と連携した介護用ロボットの開発などがすでに進められている。





今後はさらに幅広く、学部の壁を超えた発展が期待されており、イノベーション人材育成講座の開講など文系学部も含めて様々な学部が関わるようになる見込みだ。

様々な機関と手を結ぶことで新たな発想を生み、人材育成も行っていくという殿町タウンキャンパス。まだ始まったばかりのプロジェクトであるため、これからの可能性は無限大である。
(竹内未月)