先月9日から始まった東京六大学野球春季リーグ戦も第4週を迎え、下馬評では優勝候補筆頭の早大は昨年秋に好投した投手陣の不調や打線の得点力不足で苦戦を強いられている。それに対し、主力が抜けたが選手層の厚さで好調の明大がリーグ戦を優位に進めている。
(前田健汰・小宮山裕子)
※順位等は5月2日現在のものです
今年の慶大はエース加藤拓也(政4)を中心に守り勝つ野球でおととし春以来4季ぶり、35回目の優勝を目指す。慶大は東大戦を終え5勝2敗1分、首位で4月の熱戦を終えた。成績を一見したところ幸先良いスタートに見えるが、このまま優勝できるかというと簡単に行きそうもないだろう。優勝できると断言できない要因として何が挙げられるのだろうかを考えたい。
まず、シーズン前から打線の得点力不足が懸念されていた中、開幕戦の法大戦では打線が爆発、大量得点を奪い、2連勝。不安を払拭したかに見えたが、続く明大戦では打線が沈黙。4試合を戦い2得点と打線の援護がなかった。そんな打線の援護に恵まれない中でも、慶大の絶対的エース加藤は、東大戦までのチーム5勝のうち3勝を挙げ、40イニングを投げ3失点と一人、気を吐いた。しかし、加藤が先発しない試合では2勝2敗、35イニングで34失点と苦しい結果となっている。加藤と先発二枚看板を担う小原大樹(環4)は法大第2戦では勝利投手となるも、明大戦では第2戦、第4戦に先発し、9四死球と制球力に課題が残った。小原の後ろに控える中継ぎ陣も明大打線に打ち込まれ、エースとそれ以外の投手の実力差が露呈した。
東大戦では先発の清水洋二郎(法3)が5回2失点、監督も「5回まで投げ切ってくれたがワイルドピッチなど守備からリズムをつくってくれなくてピリッとしなかった」と話した。次の立大戦での先発も清水投手という構想はありますか、との問いには「そんことはまだ考えられないし誰が投げても同じという状況では困るし厳しい状況」と先発投手陣に苦言を呈した。控え投手陣は去年から登板経験のある亀井(商3)や原田(商2)、太田(経2)、藤原(経4)など駒は揃っているが、大久保監督が「投手の数はいるが計算できる駒がいない」と話すように上級生の投手がピリッとしない。
しかし、その中でも1年高橋は東大戦第2戦で、2失点したものの、失点した回以外ストライク先行のテンポ良い投球を見せた。大久保監督も「1年生に頼るようでは」と話しつつも、「(高橋投手は)投っぷりが良い」と一定の評価をするなど停滞する投手陣の一筋の光となっている。
今季も鬼門となった明大戦。4試合を戦い、2試合の二桁失点があった慶大に対し、明大はエースが登板しない試合でも水野、斎藤の投手陣がエースと引けを取らない安定感を見せたため、慶大は点数を奪うことができなかった。
今季リーグ戦で優勝候補の最有力の明大は打線が好調ということもあるが、何といっても安定した先発二枚看板を揃えることができていることが安定した成績に繋がっている。今後続くリーグ戦は大久保監督が話すように「しんどい試合」が続く。澤田投手、田村投手を擁する立大や大竹投手、小島投手を擁する早大との1点を争う接戦が予想される試合では送りバント失敗や、バッテリーエラーといった小さなミスでも命取りになる。
現状では、優勝は厳しいのでは、と論じているが今後弊紙の予想を裏切る最高の結果「優勝」を期待したい。東大に快勝したものの18失点を喫した明大戦を忘れることのできない塾生もいるかもしれないが、前回18失点を喫した19年前は優勝している。
慶大野球部 全力応援特集