SFCから、新たな学びの形が生まれようとしている。今春から試験的な運用が始まる滞在型教育研究施設『未来創造塾』である。塾生と教職員、さらには国外の学生や研究者が一つの施設に滞在しながら共に研究を進めていく。夢のプロジェクトの現状にせまった。

SBCセンターから新たな試みが生まれる
SBCセンターから新たな試みが生まれる
注目すべきはSBC(Student Build Campus)計画だ。その名の通り、構想から立案、建設に至るまでを、塾生と卒業生が主体となって担っている。SFCのキャンパス内で存在感を放つ彼らの拠点「SBCセンター」には、外観、内装ともに学生ならではの遊び心が満載だ。このプロジェクトが、学生の目線を取り入れた革新的な取り組みになることを予感させる。




未来創造塾の大きな特徴の一つに、付属研究施設の充実がある。5年後を目処に、180人を収容できる宿泊棟、それに隣接して研究施設も1棟ずつ建設していく計画だ。今年度は、3次元プリンタなどの工作機械を備えた「ファブラボ」を、来年度はドーム型のコミュニケーションスペースを建設する。

滞在して研究活動に取り組むことの魅力はどこにあるのか。多くの大学でゼミの価値が認められているように、共同研究からは多くの学びを得られるが、その利点が最大限に発揮されるためには密な交流に基づく関係性が必要とされる。それは一朝一夕で築けるものではない。運命メンバーの土肥梨恵子さん(総4‌)は、共同生活を営む中で可能になる滞在者同士の密なコミュニケーションの「場」に価値があると言う。

現在建設中の第一棟と付属研究施設は今春から利用が始まる。初めは授業や研究会単位での利用を中心とした試験的な運用となる。プロジェクトは動き出したばかりだ。目標は、変化し続ける世界に即応する、「未完のキャンパス」である。SFCの新入生は、利用者としてだけでなくプロジェクトの一員として、自分たちの手で新しい大学のあり方をつくる一端を担うことができる。

利用者はSFCの学生に限定されない。慶大に入学した暁には未来創造塾を活用してより深い学びを体験してみてはいかがだろうか。
(石田有紀)