先月23日、日吉キャンパス来往舎で中世ウェールズのオリエント観についての講演会が開催された。ユトレヒト大学ケルト学科講師ナタリア・ペトロヴスカイア氏が登壇した。(日本ケルト学会主催、慶應義塾大学教養研究センター後援)
中世ヨーロッパの世界観・オリエントに関しての研究の際、今まではウェールズという国はあまり研究されてこなかった。しかし「ウェールズの世界観を知ることでこそ、中世のオリエント観をより深く知ることができる」と氏は指摘した。
その理由として「中世の世界観のなかではウェールズが世界の最も端にあるからだ」と述べた。また「12、13世紀のウェールズ文学は数が少ないため全てを網羅することができ、方法論的モデルを作り出せるからだ」とした。
中世のウェールズで描かれた地図の中には12世紀のものや聖書に描かれているものなど全てが盛り込まれており、歴史の動きが見えてくる。これらは文学のなかにも表れているとのことである。
最後に氏は地理学的観点から史上的オリエント、聖書的オリエント、同期的オリエントという3つのオリエントを紹介した。これらの3つのオリエントは中世の十字軍で重要となる。「イスラエルとイスラムに関する情報、聖書の情報、当時の聖地についての情報が混じっている」と述べた。