2016年度慶大一般入試の出願が先月21日に締め切られ、志願者数が確定した。全体志願者数は前年より1445人増の4万4797人と前年に引き続き志願者数減少に歯止めをかけ、大幅に盛り返している。学部別にみると、医、理工、薬学部以外で増加がみられ、前年度より2年連続で文系人気が続いている。一方で2年前までの理系人気は下火になっている。
(山本理恵子)
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今年度の一般入試は、2月10日の薬学部の入試に始まり、29日の医学部の二次試験まで計12日間にわたって行われる。合格発表は今月17日から3月4日にかけて順次公開される。
前年度からの一般入試 の変更点は、経済学部の募集人数が90人減ったこと、SFCの受験科目に「情報」が加わったことなどがある。
経済学部の募集人数減少は、今年度から行われるPEARL入試において100名程度募集していることが影響している。PEARL入試とは、経済学部が新たに導入した入試制度のことであり、4年間一貫して英語で経済学を学ぶという9月入学プログラムである。試験はもちろん、募集要項が書かれたホームページまで全て英語であり、日本語が全く話せない人であっても問題ない。海外からの問い合わせも多いという。
また、新たな受験科目「情報」の追加はIT系の教育に力を入れるSFCならではの挑戦といえる。受験生は当日配られた問題を見てから、「数学または情報」のどちらを受験するか決めることができる。
全体の志願者数は、前年度と同様に増加傾向にあり、2年前まで続いた減少傾向から回復を果たした。この背景として、「長く不景気が続き、東京の私立である慶大も地方の学生には金銭的な面で壁が高かった。しかし景気回復の兆しに伴い、志願者が増加していると考えられる」と慶大入学センターは分析している。その他の要因としては、寮や奨学金などの地方出身者に対する支援制度が拡充されたことや、 慶大がスーパーグローバル大学に選ばれたことなども考えられるという。
学部別にみても景気回復の兆しは影響している。2年前までは就職難のため、一般的に就職に強いといわれる理系学部が選ばれる傾向が強かった。今年度は全国的に文系学部が大幅に志願者数を伸ばしており、慶大で最も変化の大きかった経済学部ではA方式、B方式合わせて580人増加している。慶大入学センターも「募集人数が減少すると、それを懸念して志願者数も減る傾向にあったので驚いている」と話した。
なお、今年度は理工学部の受験票の一部に試験会場が誤って記載され、急遽再発行されるという事態も起こった。例年理工学部は受験者数が多く、受験番号によって会場を三田と日吉の2カ所に振り分けているが、受験票の印刷を委託していた業者のミスで、本来「日吉」と印刷するべき受験票の一部に「三田」と記載されてしまった。