経団連方針 異例の2年連続見直し


日本経済団体連合会(経団連)は先月20日、2017年卒の大学生の就職活動の採用選考解禁時期を6月に前倒しする方針を発表した。大学3年の3月に会社説明会などの採用広報活動が解禁、大学4年の10月に正式内定が解禁されるのは今年と変わらない。経団連は企業側のガイドラインとなる「選考採用に関する指針」を改定し、今月7日にも公表する見通しだ。
(児島遥)

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今年の就職活動は、採用選考開始時期が例年の4月から8月に繰り下げられた。政府が学生を学業に専念させるために採用活動の時期を送らせるよう要請し、経団連がそれを受け入れたためだ。




しかし、3年生の夏ごろから就職活動を意識してインターンシップに参加していた学生にとっては実質的な就職活動の長期化となった。また、実際には経団連に加盟していない中小企業を中心に7月以前に選考を行った企業も多く、8月に入ると大企業の内定をもらった学生に内定を辞退されるケースが相次いだ。こうした事情から学生・企業の双方の負担が増幅したことが問題視され、就活日程はさらに見直されることになった。

2年連続で就活日程が見直されるのは異例だ。現大学2年が活動する再来年の方針は未定であり、経団連は、協議を続けるとしている。

選考開始日程が6月に前倒しされることを受けて、マイナビ編集長の吉本隆男氏は「今年は採用広報が始まってから実際の面接までの期間が5カ月あり、しっかり準備ができた。来年は3カ月しかないため、短いなかで本番に備えた準備をしなければならない」と警鐘を鳴らす。また、6月は授業期間の真っ最中であり、公務員試験や教育実習などが重なるという問題もある。さらに、海外に留学中の学生は帰国時期が選考に間に合わないことも懸念される。

一方で、面接解禁が6月になることで「企業の面接も多少分散するのではないか」と吉本氏は予想する。選考期間が短かった今年は8月に面接が集中し、大企業のなかでも優秀な学生の取り合いになることが多かった。6月解禁で選考期間が伸びることで、面接は6月を山として分散、また、大企業の選考終了後に中小企業の選考がスタートするという従来の構図に近くなることも考えられるという。

3月のエントリー開始から、6月の採用面接まで期間は短い。3月までにどれだけ準備できるかが就活の成否を分けるポイントであるという。吉本氏は「3月までにできるだけ視野を広げておくことが重要」とアドバイスする。例えば企業研究をするとき、B to C(Business to Consumer)の企業だけに目を向けるのではなく、B to B(Business to Business)の優良企業が日本にはたくさんあるということを意識しておくことが大切だという。

また、吉本氏はインターンシップの重要性も示した。「3月のエントリー受付開始直前の1・2月も多くインターンシップが開催されている。インターンシップは、文字情報だけではない生の情報を得られる良い機会。他大学の意識の高い学生と出会うこともできる。積極的に参加するべき」と述べた。