慶大には数多くの研究会(ゼミ)が存在する。選択肢が多いのはうれしいことだが一つに決めるのは大変である。そこで今回は各学部のゼミを取り上げその特徴を聞いた。ゼミ選びを目前に控えた人も、2年後・3年後の自分の姿を思い浮かべている人もこの特集を契機に入ゼミのことを考えてみてほしい。学問を志した以上、 研究会という切磋琢磨の場で大いに学問に励むのも、学生生活でしか味わえない青春である。「」内はゼミ生談。
(笠原健生・河合遥香・鈴木智博・益田莉佳・宗方怜)

~悩みにこたえます 入ゼミQ&A~

-ゼミの選び方は?

基本的には自分が興味のある分野を探す、あるいは興味のない分野を消して残りを精査すると無難だ。ゼミ説明会や三田祭論文などの研究発表に足を運び、情報を能動的に集めることが大切である。一方で「もともとは研究分野に興味がなかったが、先生が魅力的だった」(法政3)などの意見も。研究内容だけでなく、雰囲気や倍率、時間割なども選ぶ基準として重要になるだろう。

-試験の対策は?

複数の研究室を視野に入れ、選考内容を調べよう。多くの試験には範囲や課題が指定されているが、過去問があればそちらも活用するべきだ。レポートは形式に注意しつつ、シンプルでも論理的な構成を心がけよう。課題図書があるなら余裕のあるうちから読み始めるべきだ。面接ではアピールできることを一つくらい準備しておくのが得策だろう。研究分野の知識付けもしてあると安心だ。

-試験に落ちたら?

一度くらい試験に落ちても、諦めるのはまだ早い。1次試験後も空き枠があるゼミでは2次・3次募集がある。ただし「人気ゼミは倍率が30倍にも」(経3)との証言もあるので、注意しよう。ゼミに入らない選択肢もある。卒論を書かない代わりに試験を受けるなど卒業条件は学部で異なるため、確認が必要だ。空いた時間はインターンにあてるなど、3年生からの時間の使い方は様々ある。

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文学部 北中淳子研究会

■研究テーマ
教授の専門は医療人類学だが、ゼミ生は各々の好きなテーマを研究する。

■活動内容
「主に文献輪読と卒論に向けての研究準備を行っています。授業は発表とディスカッションを中心に進めます。ディスカッションでは毎回の授業で1人につき3回以上発言することを目標としています。12月に行うゼミ合宿では卒論発表とそれを深めるためのディスカッションをする予定です。勉強だけでなく、宿の近くにある八景島シーパラダイスに行って遊ぶことも計画しています」

■雰囲気・特徴
「オンとオフの切り替えが出来ることがこのゼミの特徴です。研究はもちろんのこと、遊びにも全力で取り組んでいます。」

■試験
人間科学専攻のゼミにでは共通して必須な志望理由書と、教授との15分ほどの個人面談・ゼミ生複数人との集団面接がある。

「ゼミ生との面談は雑談程度の堅苦しくないもの。面接試験は自分の調べたい内容にこだわりを持って突き進められるか、またインタビューで調査出来ることかを自分の中でよく考えて表現できれば問題ないでしょう」

■2年生へ
「北中研究会では、自分のやりたい分野や研究にこだわりを持っている人や、遊びも含めてゼミに積極的に参加できる人を歓迎しています。医療以外について研究しているゼミ生もたくさんいるので「教授の専門と自分の興味のある分野が違う」という人も大歓迎です。また当ゼミは、サークルも頑張りたいけれどゼミでの研究にも力を入れたいという人にもお勧めです。現役のゼミ生にもダンスサークルや演劇サークルなどの多忙なサークルに所属している人がいますが、両立は可能なようです」

【三田祭ブース 出展なし】


 
経済学部 土居丈朗研究会

■研究テーマ
財政学、公共経済学、政治経済学

■活動内容
「本ゼミでは、財政学・公共経済学を中心としながらも、地方財政・医療経済学など幅広い分野から、3年生の一人ひとりの興味にそって先生が選んだ論文を、三年生が主体となり、輪読形式で発表します。また、4年生の卒業論文の中間発表も行われます。サブゼミでは、まず前半に先生の著書である『入門公共経済学』を輪読します。後半は二人一組となり、好きなテーマを選んでプレゼンテーションを行い、その後全体でそのテーマについて議論を行います」

■雰囲気・特徴
「土居ゼミの一番の特徴は、先生とゼミ生のお人柄が良いことです!そして、勉強とそれ以外の活動との「メリハリ」がしっかりとれていることも挙げられます。先生はとにかく温厚で優しい方です。また、大変ご多忙でいらっしゃるにもかかわらず、ゼミ後の飲み会などのイベントに積極的に参加してくださるなどゼミ生との関わりをとても大切にしてくださいます。ゼミ員については、とても仲がいいです。土居ゼミはイベントが多く、また参加率が高いので、結束力があり、先輩との仲まで良くなります。一方で、勉強に関しては論文執筆に力を入れており、優秀な同期とも適度な緊張感を持って、切磋琢磨し合える仲です。また、先生の研究分野が広いため、比較的自由な研究が可能です」

■試験
エントリーシート、試験(ミクロ・マクロ・英語)、教授面接、成績表の提示という4つを総合して評価する。

■2年生へ
「土居ゼミはとにかく素晴らしいゼミです。土居先生はとても優しく、ゼミ生一人ひとりの興味に寄り添ってご指導してくださるので、努力した分だけ結果が返ってきます。なので、とても充実した三田生活が送れること間違いありません。土居先生の下で学びたい人は大歓迎です!」

【三田祭ブース 南校舎412教室】


 
法学部政治学科 粕谷祐子研究会

■研究テーマ
発展途上国比較政治学

■活動内容
「3年生の前期は粕谷先生の教科書や参考文献を読み、担当者がリサーチクエスチョンを作成しグループワークを行い発表します。後期は三田論に取り組む傍ら、個人論文作成も進め毎週担当者による中間発表を行います」

■雰囲気・特徴
「政治学科で唯一女性の教授ということもあり、男女比が2対3と 女子が多いゼミです。勉強と遊びのバランスが取れていてメリハリのあるゼミです。途上国研究をやっていることもあり、語学を勉強していたり、国際関係に関心のある人が多いです。体育会やダブルゼミ、インターンなど自分のやりたいことと両立している人もたくさんいます」

■試験
昨年はレポートと面接で評価した。「レポートでは課題図書を1冊読み、2500字程度のレポートを提出します。量は少ないですが、少ない文字数でどのように情報を盛り込むか、話の展開をどうするか工夫が必要です。特にレポートの書式は合っているか、論理的に書けているかに気をつけ、第三者に添削してもらうなど早いうちから入念に準備することをおすすめします。今年度の課題については11月半ばには公表します」

■2年生へ
「ゼミは大学生活後半のメインとなる貴重な時間です。ゼミで取り組む研究は自分のやりたいことでないと必ず後悔すると思います。倍率はあまり気にせず、行きたいゼミの課題に全力で取り組んでみてください。粕谷ゼミに入れば刺激しあえる良い仲間と出会うことができます。その中で切磋琢磨する2年間はきっと価値あるものになるはずです。2年生のみなさんとお会いできるのを楽しみにしています!」

【三田祭ブース 南校舎466教室】


 
法学部法律学科 片山直也研究会

■研究テーマ
民法の債権法・担保法の分野に比重を置きつつ、民法の基礎理論の習得を目指す。金融実務や裁判実務における民法や債権法改正も取り扱う。

■活動内容
「グループで課題に取り組み、ゼミでの発表後に討論をする形式です。3年秋学期に執筆する共同論文は『法律学研究』に掲載します。九州大学や慶大の鹿野ゼミ、北居ゼミとの共同ゼミも行っており、4年秋学期は各自テーマ研究を行います」

■雰囲気・特徴
「男女仲が良く和気あいあいとゼミ活動をしています。2年間を共にする同期との友好関係はゼミにとって重要な要素と言えるでしょう。3年次完結型のゼミで、4年春学期はゼミがなく進路にじっくり向き合うことができます。また、3年秋学期から共同論文を執筆するため、就活や院入試の際にゼミでの研究結果をアピールすることができます」

■試験
筆記試験と後日面接を行う。試験範囲は民法の総則・物権・債権各論。基本的な制度や原理原則の理解度を問う。「例年定義を答えるような問題が出ています。面接は15分程度で、人柄を知ることを目的としているのでリラックスして質問にお答えください」

■2年生へ
「多様性の富んだ我々片山ゼミにぜひ新たな性質を持って入っていただきたいです。多くの素晴らしい学生をお待ちしています。「今のゼミに対して、自らの考えを明確に主張できる積極性の富んだ学生を新たに受け入れたいと考えています。自律性を持ち周囲に影響されることなく、芯の通った意思が重要であり、そのような意思を持つ学生がこのゼミでより活躍できると思います。その反面、協調性を欠く事を良しとしません。他を認める協調性を持って初めて自律性があると言えるでしょう」

【三田祭ブース 出展なし】


 
商学部 権丈善一研究会

■研究テーマ
社会保障、公共政策、政治経済学

■活動内容
「毎年内容は変わりますが、今年度のゼミでは前期に輪読、後期は三田論、その後は4年生の卒業発表です。普段のゼミと並行して、3年生には新人王や右腕カップといった行事があります。新人王は自作HPにアップした映画や本のレビューの量と質を競い合うイベントです。右腕カップは自分で設定したテーマで5000字以内の論文を書いて優勝者を決めるトーナメントです。勝敗の基準は誰を自分の右腕にしたいかという一点です。読書は必須になります。努力次第で、考える・読む・書く・話す力がかなりつきます」

■雰囲気・特徴
「自分の力で考えることをモットーとしているため、ゼミ中に先生があまり口を出さないのがこのゼミの特徴です。例年比較的真面目な人が多いですが、現3年生は明るく賑やかなタイプの人が多いです。やる時はやる、楽しむ時は楽しむ、といったようにオンオフをきっちりとしています。部活やサークルに勤しんでいる人もいれば公務員を目指している人もいて、かなり多様です。勉強に関しては決して楽ではありませんが、課外活動との両立は可能ですし、日々成長を感じることができます」

■試験
教授との面接、ゼミ生との面接、課題図書の感想文800字。「準備は課題図書の感想以外特に必要ありませんが、自己紹介や志望理由などをしっかりと自分で把握し、話すことのできるようにしておくと良いと思います」

■2年生へ
「三田での勉強の中心はゼミになってきます。いろんなゼミの個別説明会やオープンゼミなどに足を運んでみてそのゼミ雰囲気を感じると共に、自分がどういう風に成長したいかと照らし合わせてゼミ選びをすると良いと思います」

【三田祭ブース 南校舎446教室】



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