9月1日は防災の日。これは1923年9月1日、首都圏に未曾有の被害をもたらした関東大震災にちなんで戦後に制定された記念日だ。国民が災害についての認識を深め、対処する心構えを準備することを目的としている。
近年、東日本大震災をはじめ火山や竜巻などの自然災害が猛威をふるっている。いつ起こるのかわからない天災に対して私たちのキャンパスにはどのような備えがなされているのか、改めて確認してみるのも良いだろう。
今回は三田キャンパスの対策状況について、慶應義塾管財部にお話を聞いた。
現在、慶大三田キャンパスには1万1千人を超える学部生と大学院生が在籍している。さらに同キャンパスは近隣住民から広域避難場所である「芝公園・慶応大学一帯」の一つとして認知されているため、大規模災害発生時には多くの人々が押し寄せることが予想される。
慶應義塾では三田キャンパス内に2カ所の防災倉庫を設け、その中に飲料水やクラッカーなどの飲食料のほか、発電機や担架などを備蓄、保管している。2011年3月の東日本大震災では、交通機関の乱れからキャンパスへの滞在を余儀なくされた塾関係者が発生した。このときは実際に防災倉庫に備蓄されていた飲料水とクラッカーの配布が行われたという。
備蓄する飲料水を補うものとして構内に設置されている自動販売機の一部は、非常時に無料で内容物を提供できる「災害救援ベンダー」でもある。管財部で鍵を常時保管しており、緊急と判断された場合に自動販売機の運転を手動での取り出しの形に切り替える仕組みだ。
他にも、南校舎と東館、図書館新館の一部エレベーターには防災用品を収納した三角柱状のボックスが設置されている。普段は腰掛けとして利用できるが、エレベーターに閉じ込められるなどといった緊急時には、救助が来るまで命を繋ぐことができるようになっている。空になった収納容器自体も簡易トイレとして利用できる。
今後、慶應義塾では万が一の事態に備えてさらに防災用備品や資機材を充実させることを目指すという。生命維持に欠かせない飲食料の備蓄はもちろん、大規模災害時に利用できる慶應義塾独自の安否情報確認システムの開発もITC本部の主導で行われており、早期の導入が待たれる。
自然は私たちの思いや願いに驚くほど無関心だ。いつ牙をむくかわからないからこそ、日々の備えを怠ってはならない。
(田島健志)