学生は普段スポーツ大会に参加する側だが、自分達の手で大会を企画、運営する学生もいる。
学生主体で行うサッカーリーグ「アットホームカップ インディペンデンスリーグ 同好会」(以下「アットホームカップ」)運営委員の、理事長・本澤峻さん(中央大学サッカー同好会)、運営委員長・西山奨さん(早稲田大学稲穂キッカーズ)、広報委員・小澤知子(慶應キッカーズ)さん3人にお話を伺った。
「アットホームカップ」は、2004年に設立された。2002年の日韓ワールドカップ開催後、日本ではサッカーへの関心が高まっていたという背景がある。部活だと敷居が高くて入れないが、サークルならやれるという大学生も増え、リーグが設立された。
かつてはJFA(全日本大学サッカー連盟)が運営していたが、2013年にアットホーム株式会社の協賛を得て、学生が運営する「アットホームカップ」という形になった。
当大会は日本サッカー協会に公認されている唯一のサークルの大会だ。協会のホームページにも掲載されており、サークル同士の大会でありながら、公式的な色が強い。
各大学の代表を決める予選も含めると、大会へ参加するのは関東の大学24校、計190チームを超える。これは大学のサークルのサッカー大会としては最大規模だ。昨年度の優勝チームは、慶大の理工学部体育会サッカー部だった。
西山さんはアットホームカップの魅力について「体育会は大学を代表している団体でそのチームが負けたらその大学が弱いという見方もされる。大学の中にたくさんのサークルがある中でこの大会に参加するのはレベルの高いチーム。そのチームを愛してプライドをかけて戦っている」と語ってくれた。
試合行程を組むところから、イエローカード何枚で出場停止にするかというルール決めまで、運営は全て学生の手で行っている。
組織は理事会を柱として6つの委員会からなり、全ての委員会は参加チームの学生で構成される。例えば広報委員は、学内戦で優勝した選手やチームの記事をホームページに掲載する。twitterやFacebookの更新、MVP選手やベストイレブンの選出も仕事の一つだ。サッカー総合専門サイト「サッカーキング」に広報委員が書いた記事が載ることもある。
今、力を入れるのは審判委員会だ。今年から学生の審判の導入を目指していて、講習会も予定している。だが学生で審判に興味を持つ人は少なく、まだまだ人材を募集中だという。
学生が運営することで、学生にしか分からないニーズを埋められるのがこのリーグの良さだ。学生は自分がしたいことを自由に発言できる環境にあるという。例えばベストイレブンに選ばれた選手には景品としてユニフォームを渡すといったアイデアも学生たちの話から生まれた。また、自分が運営側の目線で学生を見ることによって、今までの自分を見直す面白い経験になる。
今年度の本大会、予選は10月10日から12日まで鹿島ハイツスポーツプラザで、決勝戦は11月3日に味の素スタジアム西競技場で行われる予定だ。慶應からは、学内戦を勝ち抜いた理工学部体育会サッカー部OBチームと現役チームが出場する。
(笠原健生)