8月23日、慶應義塾大学は電通本社ビル1階で記者会見を行い、米リンデン・ラボ社が運営するオンライン上の仮想空間「セカンドライフ」の中で、授業公開などを行うと発表した。会見は株式会社電通と共同で行われ、義塾からは村井純常任理事兼環境情報学部教授が出席。セカンドライフに関する義塾の取り組み・構想について語った。
セカンドライフは、米国サンフランシスコに本拠を置くリンデン・ラボ社が03年から提供している、インターネット上のメタバースと呼ばれる三次元仮想空間である。セカンドライフのアカウントを持つユーザーは、現実世界のものと換金可能な仮想通貨をセカンドライフ内で所有し、不動産運用や買い物などの経済活動を行うことが出来る。8月15日現在で880万人を超えるアカウントが存在する。
慶應義塾は9月下旬より電通が運営する仮想都市「バーチャル東京」内に、電通との合同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置。同キャンパスの土地(「Tokyo9」SIM)およびその管理権限は電通から慶應義塾大学SFC研究所に提供され、研究者グループはこの土地を活用して研究を進める。
同キャンパスでは、講義などの教育映像コンテンツを公開し、教育分野におけるセカンドライフの可能性を検証していく予定。大学の正規科目の講義をセカンドライフ内で公開するのは、日本の大学では初めての試みとなる。
また、セカンドライフキャンパスやバーチャル東京内における生活者の行動、仮想通貨などの経済活動についても研究していく。各種研究は義塾と電通が共同で行う。両者はセカンドライフ上で流通する仮想通貨「リンデンドル」などを用い、仮想経済のメカニズム、生活者の行動分析、法的・倫理的課題などについて研究する。さらに、セカンドライフの技術的側面に関しても、開発元のリンデン・ラボ社と連携しながら研究を行う予定である。