スマートフォン利用者のほとんどがアプリとして使用している電車やバスの「乗換案内」サービス。今や様々な企業が開発し、形態も多様化している。その開発の元祖ともいえるのがジョルダンだが、もともとはシステムやゲームの受託開発会社だったという。そんな会社が、なぜ乗換案内というサービスを作る発想に至ったのか。そこには面白い誕生秘話があった。
それは地下を走る水道管の経路の最短距離を求めようとしていたとき、「これを路線で考えてみたら面白いのではないか」と思いついたのが始まりだ。「とにかくやりたいことをやろう。そしてやるのだったら本格的に」ということをモットーにしているジョルダン。「乗換案内」サービスもそんな社風の中で生まれた。
このアプリの最初のターゲットは「せっかちなビジネスマン」。出勤帰宅時の鉄道利用で、時間を有効的に使いたい。そこで数学好きの社長は、ここに最短の経路問題を応用すれば、効率の良い乗換方法を計算できるのではないかと考え、本格的にサービスの商品化を進めた。
「乗換案内」サービス自体は、1994年、東京近辺限定の乗換案内電子ブック版として誕生した。何度かの転機を経て、ここまで普及してきた。
まず一つ目の大きな転機は、携帯電話のiモードが始まったときだ。サービスを持ち運びながら無料で利用できるようになり、大きく利用者を伸ばした。
もう一つの転機は、東日本大震災だ。「ジョルダンライブ!」という口コミ運行状況サービスを駆使し、24時間体制で運行状況を確認、掲載し続けた。
運休と復旧に伴い運行ダイヤが1日ごとに変わる。そんな非日常的な状況にも対応するべく、毎日鉄道会社を取材して、自身の手で時刻表を打って更新したという。他社にはできない地道さと人々の役に立つ仕事を成し遂げたことが話題になり、利用者数を増やした。
今日では利用者のニーズに合わせて乗り物も多様化し、「ここに行くならこれを利用する」という固定概念が崩れてきている。その多様化にも対応していくために、長年のノウハウを生かした検索エンジンを応用していく予定だという。
最後に、今回お話をしてくださったジョルダンの安田さんと長岡さんから新入生へ、メッセージを頂いた。「地方出身者の方は、まずは案内通りに電車を乗り換えてみてほしい」「結果が変だなと思ったらすぐに連絡してほしい」とのこと。また「検索するたびに駅周辺の観光施設のクーポンが出るサービスも始まった。こちらもぜひ利用してほしい」。
(山下菜生)