合宿でチームワークと試合勘磨く
慶大蹴球部は夏休み期間に、網走、菅平高原、山中湖にて約1カ月間、合宿を行った。1勝4敗で5位に終わった春季大会での惜しさを晴らすべく、8月下旬、部員達は菅平高原で練習に励む。
長野県上田市に位置する菅平高原はラグビー日本代表の合宿地としても利用されるラグビーの町だ。木々が繁る山道を少し歩けば、すぐにラグビー場が見えるほどグラウンドが多い。冷涼で過ごしやすい気候の菅平高原では、多くの他大学のラグビー部が合宿を行っている。そのため、他大学との練習試合を行うことが菅平合宿の大きな目的だ。主将の木原健裕選手(総政4)は「前半40分、後半40分の試合ができる貴重な体験は菅平だからこそだ」と語る。取材当日は関西学院大学と練習試合を行っていた。惜しくも黒星となったが、下級生の選手が中心のチームであり、試合の経験を積む良い機会であった。
合宿はいつも以上に集中して練習に取り組むことのできる環境であるが、この合宿で部員たちはどのような練習をこなし一日を過ごしているのだろうか。
蹴球部の朝は早い。5時に起床し、6時頃から30分間のウエイトトレーニングを行う。これは和田監督自身の学生時代を踏まえて取り入れられたものだ。朝に補食を入れてから体を動かすことで時間を有効活用し、1日を上手く回そうという考えのもと行なわれている。その後、間に休憩や食事をはさみながら午前の練習を10時、午後の練習を15時頃から行う。内容は、切り取った練習よりも、試合を想定した練習がメインになっている。合宿中に行った練習試合における反省を次の試合で生かすべく練習をする。就寝前には短い時で15分、長い時には2時間に及ぶミーティングをする。試合前には試合において意識すべき点を、試合後には試合を見て課題を共有する。また、練習における反省点も話す。
就寝は22時から23時頃であり、規則正しい生活を送っていた。このように部員が長期間同じ屋根の下で衣食住を共にする環境はチームのまとまりを生む。監督が指摘する、自分自身が疲れてくると周りが見えなくなる選手が多く、チームを第一に考えるということが疎かになっているという課題は合宿を通じて解消されつつある。「上のチームに関しては、すごくまとまってきた」と主将は言う。
また、監督と太田千尋フィジカルコーチによって考えられた食事は、選手のフィジカル強化のための工夫がなされている。合宿前の血液検査と尿検査の結果では、選手の鉄分不足がわかったため、レバー、ひじきなどを普通の食事に加えて食べている。タンパク質を摂取すべく豆腐、納豆なども欠かせない。
9月から始まる関東大学対抗戦に向けて主将は、「白星発進できるよう、今、自分達がやっていることを信じ、まずは今を皆で精一杯頑張っていきたい。去年の青学大戦のようなまさかの黒星がないよう、皆で目の前の一戦一戦に懸けていきたい」と意気込みを見せる。関東大学対抗戦は9月中旬から11月末まで秩父宮ラグビー場などで行われる。夏合宿を経てパワーアップした蹴球部の応援に足を運んでみてはどうだろうか。(増田絢香)