カルチャーショックを恐れずに
夏休みに留学を控えた学生にとって、この7月は期待もあれば、不安もあるだろう。有意義な留学にするためにも、不安は少しでも和らげたい。
留学先で、日本との環境の違いを感じて憂鬱になる、所謂カルチャーショックを受けることは当然だ。異文化コミュニケーションとアイデンティティの研究を専門とする商学部の吉田友子教授によれば、ただ、日を重ねるごとにそれに順応し、克服できる。カルチャーショックを感じること自体が、異文化を理解しようと努力している証拠だ。それは、数々の研究でも明らかだという。カルチャーショックを不安に思うことなどない。
外国人と話す際に、「発音が違っていたらどうしよう」、「伝わるかどうか不安」「聞き返されるのが怖い」などと考えることがあるかもしれない。しかし、そういったネガティブな感情は禁物である。なぜなら、その感情は自然と顔に出てしまい、相手に悪い印象を与えることになるからだ。「失敗を恐れずに笑顔で話しかけると、たとえ文法が間違っていたとしても言いたいことは確実に伝わる」と話す。
海外では、間違ったことを言うことより、何も言わずに黙っていることの方が問題視される。「文章にして言うのが怖いというのであれば単語だけでも言ってみるといい。注目が集まり、話の輪に入るきっかけにつながる」と話す。
留学経験のある塾生の一人も、最初はそれまで会話に入ることさえ億劫になっていたという。しかし、自分の好きな歌手の話題になった途端に流暢に話すことができ、会話に対する抵抗がなくなったと話す。
このように、会話で「主導権を握ること」、つまり自分から話題を発信することは大切だ。会話での焦りや不安が減るからである。あらかじめ趣味、家族のことなど「自分が話せる話題」を用意しておくのがよいだろう。
吉田教授は、「まず楽しむことが第一」と付け加えた。楽しむという気持ちは、自分のピンチをチャンスに変えてくれる。不安よりも大きな希望を持って、海外へ羽ばたこう。 (高畑里佳子)