ソッカー部を退部し、プロの道へ
6月12日に開幕するFIFAワールドカップ。日本代表には前回大会のベスト16を上回る成績が期待される。
南アフリカ大会からの4年間で日本サッカーは香川真司選手(マンチェスターユナイテッド)ら若手の台頭により、目覚ましい進歩を遂げた。今回のブラジル大会後でも同じように多くの若きスターの誕生が予想される。FC東京に所属する武藤嘉紀選手もそのうちの一人だ。
昨季まで3年生ながら慶大のエースとして活躍していた武藤選手。しかし、ソッカー部を退部し、今季からFC東京に加入。現在は大学に通いつつ、プロ生活を送っている。Jリーグでは開幕スタメンの座を勝ち取り、その後もコンスタントに出場を重ねている。プロ入りから約半年。今の胸の内を聞いてみた。
「絶対に出る」 4年後に自信
「もっと高いレベルでプレーがしたい」。これが武藤選手が大学3年時にプロ入りというリスクのある道を選んだ、ただ一つの理由だ。まず印象として、「大学サッカーとは練習の雰囲気から違う」という。「プロである以上仕事なのでファン・サポーターの方々のためにも良いパフォーマンスや結果で応えなければいけない」とJリーガーとしての責任を語った。また、FC東京には森重真人選手、権田修一選手というワールドカップメンバーもおり、「日本を背負っている選手のプレーや行動はプロの中でも別格」と話す。しかし、そのような選手たちを単なる憧れとしてではなく、あくまでも目標として見ている。今回のワールドカップについても、「メンバー入りを狙っていた」という武藤選手。ブラジル行きの切符はつかめなかったが次回のロシア大会については「絶対に出る」と、自信を見せた。
現在、Jリーグで2得点と活躍中の武藤選手だが、決して今まで順風満帆だったわけではない。特にリーグ最終節で1部残留を決めた去年の慶大でのラストシーズンは「ただただ苦しかった」と振り返る。自身も不調な時期があったが、そんなときに支えとなってくれたのが仲間や監督の存在だったという。その中でも須田監督は相手との間合いの取り方など、常に的確なアドバイスをくれた。「とても素晴らしい人。今まで出会った中で最高の監督だった」と尊敬の念を口にした。
今シーズンは10試合を終えて5位と好調を維持している慶大。武藤選手は「増田(環4)がキャプテンのチームは絶対にうまくいく」と最終学年を迎えた同期に期待を寄せた。また、早慶サッカー定期戦を控えるチームには「どれだけがむしゃらに、ひたむきに戦えるかが大切」とエールを送った。
最後に塾生には「今、目の前にあることに一生懸命になってもらいたいし、自分の選択した道を信じてほしい」と、大学生Jリーガーという特殊な道を選んだ武藤選手ならではの力強いメッセージを残してくれた。
(木下俊亮)