9月13日明治神宮球場で幕を開けた平成20年度東京六大学野球秋のリーグ戦は、早大の完全優勝で11月3日に全日程を終了した。早大の優勝は2季ぶり41回目。慶大は立大戦に連勝し、最終週の慶早戦に優勝の望みをのこすも第1戦で敗れ、2位に終わった。2位は相場監督の就任以来、最上位。
慶立一回戦
効率よく得点 中林完封勝利
明大、東大に対して連続で勝ち点をあげている慶大。中林(商3)、坂本(法4)のバッテリーの活躍で、3―0で立教大を下した。
慶大打線は2回、立大先発の戸村の2四球などでランナーを1、3塁とすると、坂本のスクイズで1点を先制。4回にも坂本の適時打などで2点を追加した。積極的な走塁が目立ったが、試合後、相場監督は「(盗塁やスクイズなど)足を使った攻撃は指示ではなく、選手が自主的に行ったもの」と語った。試合全体での安打は6本ながら、打線は相手の隙を逃さず、着実に得点を重ねた。
先発の中林は114球の熱投。安定したコントロールと打たせてとるピッチングで立大打線を2四球3安打に抑え、完封勝利を収めた。
慶立二回戦
立大に連勝 優勝へ前進
慶大は1敗でもすると優勝の可能性がなくなる重圧のなか、立教に連勝し勝ち点を上げ、優勝へ望みを繋いだ。
1回、慶大打線は相手のミスと湯本の適時打などで幸先良く先制する。その後もクリーンアップが揃って打点を挙げるなど小刻みに効率よく得点を重ねた。
先発の相澤は7安打を許しながら要所を締め7回1失点。リリーフの中林が8回に3失点と崩れるも、後続を打ちとり何とか逃げ切った。
慶早一回戦
一歩及ばず 優勝を逃す
ともに優勝がかかった早慶戦だったが、慶大は早大に惜敗。早大は2期ぶり41回目の優勝を決めた。
先発の相澤は、毎回安打を許し5回までに3点を失った。打線は7回裏に坂本がスクイズを決め1点を返すものの反撃もここまで。早大斎藤、大石の継投を打ち崩せず1―3で敗戦した。
試合後、慶大の選手は、優勝を逃した悔しさを隠しきれなかった。坂本は「チャンスはあったが、活かせなかった」と振り返る。相澤も「要所を押さえきれなかった。もったいない」と嘆いた。 相場監督も「明日勝って何とか勝ち点を取りたい」と早くも気持ちを切り替えていた。
慶早二回戦
一早大に快勝 一矢報いる
大が早大投手陣の乱調に漬け込み9点を挙げ快勝し、早大に一矢報いた。
早大は2回まで3死四球と制球が定まらない先発松下を3回で交代させたが、これが裏目に出た。
交代した楠田が連打を浴び失点を重ね、1回持たず交代すると悪い流れは止まらない。続く大前、福井も二人合わせて7死四球5失点。
一方の慶大は「立大戦から調子が良かった」という小野寺が3打点、今福が4打点と大爆発した。
先発の中林は6回まで3失点と108球の粘りのピッチングで早慶戦初勝利を挙げた。これについて中林は「負けて終わりたくなかった、素直に嬉しい」と語った。
慶早三回戦
相澤が力尽き 完全優勝許す
大は8回に相澤が勝ち越しを許し、最終戦を勝利で飾れなかった。早大は慶大に勝利したことで全大学から勝ち点を挙げる完全優勝を達成した。
中林、斎藤の両先発は共に1失点と譲らず緊迫した投手戦となった。そして、慶大は6回途中に相澤を登板させるも、8回に力尽き勝ち越しを許し、9回には本塁打を打たれ3失点。悔しい大学最終登板となった
来期の鍵は ポスト相澤
慶大は3位の壁を破り2位でリーグ戦を終えた。しかし、相場監督が「勝ち点や勝利数は春の3位の時と変わらない」と語るように、優勝のためには全体的なレベルアップが求められる。
ベストナインに山口、漆畑、湯本が選ばれるなど現打線は2、3年が多く、成績は残している。だが、チャンスで1本が出ない、長打力に欠けるなど課題も多い。このことに関しては、前期の首位打者に続き今季も打率3位と好成績を残した小野寺も「大事なところで打つのが課題」と振り返る。
また、優勝にはポスト相澤となる投手が出ることが絶対条件だ。中林だけでは東大のように勝ち点を上げるのに苦しむことになる。
野球部には来期こそファンと共に神宮から三田までの花道を歩いて欲しい。