先進諸国の多くが司法への国民参加制度を整えているのに対し、日本は長い間、裁判は法律の専門家が行うものとされてきた。そのような中で導入が決定したこの裁判員制度は、国民主権をより徹底させることを理念としており、民主主義的な制度であるとして専門家達に広く受け入れられているようだ。
一方、制度の理念自体には賛成できても、内容に関してはまだ課題が多く残されているという指摘も挙がった。国民のための制度であるが、最も負担を強いられるのもまた国民である。制度が実施される2009年5月以降も、更なる改革のために制度を見守り続ける必要があるだろう。
学生アンケートの結果を見ると「裁判員制度は必要であるか」という質問に対し、分からないと答える学生が圧倒的であった(52%)。素人が死刑判決を下すような重大事件に関わることへの不安の声や、将来仕事を休んでまで裁判に行きたくはないという声が多数挙がっている。制度に対しマイナスなイメージを持つ学生が多いという印象を受ける。
この点に関し専門家たちは、学生たちの反応は自然なものであるとし、ある程度予想できる結果だと寛大に受け止めているようである。ただ、「素人だから」「知識がないから」という意見に対して3名が共に主張したのは、「裁判員に必要なのは知識ではなく、事実認定力」であるということ。つまり、法律の知識のない一般人の目こそが裁判に必要とされているのである。現に法律の知識を有する司法関係者や、大学の法律学の教授・准教授は裁判員として裁判に参加できないことからも、知識の有無は問われていないということが分かる。
今後、私たち学生は裁判員制度とどのように関わっていくべきなのか。
「裁判員制度に参加したいと思うか」という質問に対し、参加したい・参加してもよいと答える学生は合わせて35%。一方、あまり参加したくない・参加したくないと答える学生は合わせて61%に上る。
この数字からも分かるように、まずは司法の参加へ関心を持つことが重要だろう。そして制度を自分達で作り上げていくのだという意識を忘れてはならない。裁判員として選ばれた際に自分の意見を述べることが出来るよう、日頃から世の中で何が起きているのかを冷静に見つめる必要があるだろう。制度の実施は半年後に迫っている。私たち学生に期待されているのは、「裁判など自分には関係ない」という認識を改め、制度の意義や課題を意識しながら、司法と向き合うことだ。