記者会見は慶應義塾と京都大学で同時に行われ、遠隔中継により、互いの映像・音声が会場のスクリーンを通して把握出来るような形で行われた。

 今回結ばれた協定では、①基礎から応用までの各領域での共同研究・研究協力の推進を図り②大学の博士以上の学生・ポスドクの研究における「武者修行」の場と、異なる研究環境を経験する機会を提供し、より幅広い視野を持つ人材を育成し③両大学の国際拠点を活用・連携して、大規模な研究国際ネットワークを構築、発展させ、両大学の国際化を大きく加速するとしている。

 両大学はこれまでの『ヒト・社会・地球』に代表される、医学・生命科学、経済、情報メディア、地域研究等の分野における実績を活用し、今回の協定締結を契機として、研究、人材育成と交流、産官学連携、イノベーション創出、国際交流等の領域における協力関係を拡充・発展させていく。

 また、慶應義塾はインターネット上に世界35拠点を繋ぐバーチャルネットワークを、京都大学は32の拠点を持つリアルネットワークをそれぞれ有している。両大学におけるこれらの海外拠点を相互活用すると、ブータン、ブルネイを除くアジアのほぼすべての国を網羅する大規模なグローバルネットワークが構築されるという。

 連携に際しては「慶應義塾大学・京都大学連携基金(仮称)」を創設することも明らかにされた。この基金は連携による研究活動に必要な経費に用いられる予定で、両大学にゆかりのある人からの寄付からスタートし、適宜規模を拡大していく。

 互いの大学が、実学志向(慶應義塾)と基礎学術志向(京都大学)という異なる特色を有し、国立と私立、関東と関西(古都と首都)という対照的な環境にあることから、相互の交流が新たなエネルギーを創出することを期待できるとして協定締結に至った。また、すでに個々の研究者の間では連携の実績と成果があり、大学としての協定に向けた土壌が整ったとしている。

 安西塾長はこの連携を「出発点」に例え、世界を舞台とする今後の大学間競争に対する展望と期待を示している。