川から眺める満開の桜 お花見クルーズ | 慶應塾生新聞


お花見といえば、大抵の人は代々木公園や新宿御苑の桜並木を思い浮かべるだろう。ビニールシートを敷き持ち寄った食べ物を並べ、桜を見ながらわいわいと楽しむ日本の慣習。その慣習に一石を投じたのがお花見クルーズである。

「目黒川沿いの桜の水上からの眺めは、陸上からの眺めとは違った良さがあります」と話してくれたのはお花見クルーズを催行する株式会社ジールの広報担当の篠崎さん。目黒川沿いの桜は、川の水面に向かってしだれ桜のように枝が伸びきっているのが特徴だ。

ジールが催行するお花見クルーズは、全行程60分のコースとなっている。天王洲ヤマツピアを出航し、目黒雅叙園付近を折り返し最初の地点に戻ってくる。例年3月末から4月中旬に限定的に運行されており、親子連れやグループ客に人気を博している。「歩かずに散策できるということでご高齢の方の利用はとても多いです」という。今のところ学生の利用はそれ程多くないようだ。

とはいえ4月中旬までの時期といえば、どのサークルでも新入生歓迎会が開かれている時期である。そこで学生向けのプランを聞いてみたところ、夜桜見物を楽しむお花見クルーズを紹介してもらった。

夜は貸し切り限定での運航となっており、15名最低保障となっている。値段は全体で3万3千円弱からとサークル単位としては手の出せない金額ではない。食べ物を持ち込んで桜を見ながら新入生と交流するのも、この時期ならではの桜の楽しみ方であろう。

徳川家康を祀っている品川神社を中心とし、東海道の最初の宿場町だった品川。その真横を通る目黒川も天然の川としての歴史は深い。普段意識しない河川の存在をクルージングを通して、見直してみる。新たな観点で、東京という街を再発見することができるのではないだろうか。(松本菜穂子)