ゴールデンウィークも終わり、大学からは一人、また一人と学生が消えていく。そう、夜中の大学で宇宙人が学生を連れ去っている……というわけではなく、五月病の感染が広がっているのだ。
一般的に五月病とは、大学の新入生や新入社員に見られる、新しい環境に適応できない事を起因とする精神的な症状の総称を指す。しばしばこの症状が五月の連休明けに起こることが、五月病という名前の由来になっている。今回は慶應義塾大学保健管理センターの大野裕教授に、五月病や、それに対する対処法などについてお話を伺った。
大野教授によると五月病の自覚ポイントには大きく2つある。1つめのポイントは元気がない、やる気が出ない、無気力、無関心といった精神的なもの。そしてもう1つのポイントは、体が疲れやすい、重いなどという身体的なものである。この2点に両方とも当てはまる人は五月病にかかってしまっている可能性があるということだ。
しかし、もし仮に「私は五月病にかかっているかもしれない」と思ってしまったとしても焦る必要はない。今から五月病の対処法について紹介したい。
まずは周囲にいる家族・友人に話しかけることである。五月病は新しい環境の変化に付いて行くことができず、孤独感を抱いてしまうことが原因となっているケースがある。人間関係は、こちらがひいてしまうと向こうもひくという特徴がある。一度連絡をとらなくなった友達とは連絡が取りづらいものだが、これはその良い例としてあげることができるだろう。最初から自分の悩みを打ち明ける必要はないが、この人なら自分の話を聞いてくれるかもしれないという人に出会ったら、悩みを打ち明けてみてほしい。話すことによって自分の置かれている状況を認識することが出来るので、五月病克服への第一歩になるかもしれない。
この場合の聞く側の注意点として、励ましてはいけないということが挙げられる。自分は相手を励ますつもりで言った言葉であっても、相手は自分が責められていると感じてしまうことがある。まずは聞いてあげるということが一番である。
もう1つの対処法は、自分のやりたいこと、やりたかったことを再確認することである。五月病にかかっている人は何に対してもやる気が起きないものかもしれない。だが、自分の目標をもう一度見つけ出すことによって、今自分が何をすべきかが見えてくるはずだ。
五月病。大学に来なくなることはないにしても、何をしても楽しくないと感じてしまっている人はいるだろう。今回この記事を読んで目標に向かって再出発しようと思う人が一人でもいれば、嬉しい限りである。
(中里美紅)