日本語は他の言語とは違う点が多い。文字が漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字と4種類もあり、文法もヨーロッパの言語とは違う。そのため、外国人が日本語を学ぶのは難しいと言われることが多い。
ニュージーランドでは、1965年に初めて日本語教育が大学で導入され、今では国内にある8大学中7大学で日本語教育が行われている。2003年の時点では、ニュージーランドの日本語学習者は2万8317人で、世界で8番目に多いとされている。その大半(2万6012人)が、初等・中等教育機関の生徒であることが大きな特徴だ。
ニュージーランドにおける日本語の学習者数は、1994年にフランス語を抜いて、1998年まで1位となっていた。しかし、その後中等教育での日本語学習者数は減少し、再びフランス語にその座を譲った。だが、ニュージーランドでは現在も日本語が第1外国語として分類されている。
ニュージーランドで日本語教育が盛んになった要因としては、ニュージーランドと日本の経済関係が挙げられる。日本はニュージーランドにとって第2位の輸出相手国であり、ニュージーランドは日本にとって第3位の輸出相手国である。また、日本のアニメ、ゲーム、日本製品の影響もあり、初等・中等教育機関の生徒の日本語学習者数が多くなっている。
「日本語を学ぶ理由として、日本語と英語との『違い』が挙げられる」、とケンブリッジ高校のラリー・フラー先生は語る。「日本語は英語と違う点が多いので学ぶのは難しい。けれど、その分学ぶ楽しみがあって魅力的。それに、日本の文化は他の国とは大きく違う。フランスもドイツも文化が違うといえば違うけれど、日本ほどは違わない」。
また、ケンブリッジ高校で日本語を教える君波妙子先生は「将来の就職のために日本語を学ぶという生徒が多い」と語る。他にも日本語そのものへの興味、日本語習得そのものが目的という場合もあるようだ。ケンブリッジ高校で日本語を学ぶ生徒に実際に話を聞いてみると、日本で看護師として働きたい、日本に行ってみたい、日本の車に興味がある、などの答えが返ってきた。
初等・中等教育機関の生徒は、日本の文化、政治、経済、社会に一番興味を抱いていることが、国際交流基金の調査で判っている。高等教育機関になると、日本語を学ぶ目的が「将来の就職のため」に変化する。ニュージーランドでは、日本企業へ就職することでより良い収入が得られると考える人が多いためだろう。
外国語として日本語を学ぶことは難しい。それでもなお、日本語を学ぶメリットや、日本語そのものへの興味が日本語教育を支えている。
(島津しず香)