アテネ五輪での体操男子の活躍は記憶に新しいですが、その体操競技で活躍している塾生がいることをご存知でしょうか。今回は、先日行われた大会で好成績を収め、見事全日本インカレの切符を手にした器械体操部、但中絵里さん(環1)にお話を伺いました。
体操(女子)で競われるのは、段違い平行棒・平均台・床・跳馬の4種目の合計点。その中でも、但中さんの得意種目は段違い平行棒。素人目からは、アクロバティックな技を繰り出すことに怖さはないのかと気になるが、そこはやはり「慣れているからまったく気にならない」のだという。
但中さんが体操を始めたのは、小学校2年生のとき。以来クラブチームに所属し、国体をはじめ様々な大会に出場してきた。体操ではあまり有名ではない慶應への入学の経緯を聞くと、「父も兄(現・野球部)も慶應なので、自然と慶應に入りたいなと思っていた。今まで所属していたクラブと比べて、やはり器具や設備面で不足しているなと感じることはあるけれど、部の雰囲気がすごい良い。上下関係を教わったり、他の部を応援しあったりと、学ぶべきことがたくさんあって、さすが慶應の体育会だなと感じます」とのこと。
環境の変化を感じるときはありますかとの問いには、「以前は厳しいクラブにいたから、毎日練習でした。大学に入ってそれなりに時間を持てるようになったけど、自分で調整しないと、それがマイナスになってしまう可能性もある。とくに体重の管理が難しいですね。練習時間が短くなったこともあり、気を抜くと増えてしまう。でも、放置されることで今まで以上に意識が高まりました」と答えてくれた。
但中さんにとってのライバルは「自分自身」。「試合でいい成績をおさめ、次の大きい大会に出場できるときには、がんばってきた成果を実感できる。逆に、成績が悪いと悔しいし、へこむ。でも次はそれ以上にがんばらなきゃと思える」「今の目標は、全日本インカレで上位に残ること。そこでいい演技をし、勝ち残って今度は全日本選手権の切符を獲得したい」と決意を語ってくれた。
最後に、本紙を読んで下さっている塾生にメッセージをいただいた。「女子の体操は知名度が低いけれど、演技はきれいだし、アクロバティック。他ではまねできないようなことをやっている。一度演技をみてもらって、ちょっとでも興味を持ってもらえばうれしいし、慶應でがんばっている人もいるんだということを知ってほしいですね」
器械体操部での彼女の挑戦は始まったばかり。「大きな大会に慶應の旗を掲げられることができるとうれしい」と語る姿は伸びやかで頼もしく、これからが楽しみだ。
(人見彩子)