アプリなど実用化に期待
昨年10月から行われている8大学合同の電子書籍の活用に関する利用実験が、先月12月末で終了した。詳しい結果は今後開催されるシンポジウム等で公表される見込み。なお、この実験に用いられているアプリは出版社との契約が切れる3月末まで全塾生が無料で利用できる。
慶大内の実験では10月から、理工学部1年生の必修科目のあるクラスを対象に実験を行った。電子教科書と紙媒体の教科書を必修授業で併用して利便性に関する聞き取り調査を実施した。
同実験に用いられたのは「Book Looper」という電子書籍を読むためのアプリ。利用者はそのアプリで電子書籍をダウンロードして使う。一度書籍をアプリ内に保存すれば重要箇所に文字を書き込んだり印をつけたりできる。
今回の実験では電子書籍の検索機能の動作も調べた。電子書籍の特徴として全文検索が挙げられる。キーワードを入力すればどの本の何ページ目にその言葉が登場するかを調べられる機能だ。この検索機能がKOSMOS上でも実験されており、約1000冊の電子書籍が検索可能である。
同実験の最大の目的は、学術書が電子書籍化されたときに学生に受け入れられ、図書館における電子書籍サービスが展開できるかを証明することにあった。現状ではアプリによる電子書籍のダウンロードに時間がかかるなど課題を残すが、学生の利用において電子書籍化の有用性が認められれば商業的な利用も考えられる。