多彩な才能と明るいキャラクターを生かし、NHK「仕事ハッケン伝」をはじめ、フジテレビ「ウチくる!?」や日本テレビ「シューイチ」などのMCを務め、テレビの第一線で活躍する中山秀征氏。法学部ゼミナール委員会が主催する三田祭講演会に、NHKプロデューサーの河瀬大作氏とともに登壇する。
今しかやれないことに思い切って挑戦
小さな頃から人前に出るのが好きだった。所属していた劇団での活動を続けるうちに抱き始めた芸能界への憧れを抑えることができず、中学3年時に単独で上京した。
「今思えば冷静さを欠いていたと思うけど、動かなきゃ何も始まらないし、東京に行けばなんとかなると思っていた」と当時を振り返る。芸能界に入る当てもなく飛び出したものの、1984年にワタナベプロダクションに合格し、芸能界入りを果たす。
「最初は歌手として芸能界でやっていきたい」と思っていたものの、周囲に歌では厳しいと判断される。言われるがままに俳優業、お笑いなど数々の仕事をこなしていった。
自分が好きなことと、実際にやらなければならないことが一致しない社会の現実にぶつかるも、与えられた状況の中で自分を精一杯表現しようと努力した中山氏。若い頃に多くの仕事で培った力を他の仕事でも生かしていくことは、自分の仕事の幅を大きく広げるきっかけとなった。
色んな仕事に取り組む上で中山氏が大事にしてきたのは、「仕事の大小に関わらず、手を抜かずに取り組むこと。若い時に全力投球で仕事に取り組んでいたことで、自分の限界点を認識することができた」と話す。
2012年には芸能生活30周年を迎えた中山氏。オファーがあることで前に進んでいける芸能人にとって、一つ一つの仕事で成果を残していくことはとても重要なものだ。全力で仕事に取り組み、残してきた結果の積み重ねが、今でも芸能界の前線で活躍できることにつながっている。
多くの仕事に挑戦して、芸能界に残る術を見出した中山氏は、「一本のことに絞って活躍を残す人のすごさを強く理解している」と言う。だからこそNHK「仕事ハッケン伝」などの番組MCを務める際には、自分が目立つのではなく、専門家の話をうまく引き出す黒子役に徹することを心掛けている。「一芸に関して自分よりもすごい人なんてたくさんいる。その人たちに自分も張り合おうとするのではなくて、相手の良さを存分に引き出してあげられるようなMCであれたら」と語る。
塾生のイメージを「やるときはやって、遊ぶときは遊ぶという切り替えがとても上手」であると、仕事場で関わる塾員の人を見て感じると言う。
以前に仕事で多くの大学生の話を聞く機会があり、就活などさまざまな不安に駆られている学生を目の当たりにした。「自信は過信であり、不安な気持ちを持っているからこそ頑張れるんだ」という思いを伝えるべく、三田祭講演会に登壇することを決めた。
「今しかやれないことだと思ったら、思い切って何でも挑戦してほしい」。思い立った勢いそのままで芸能界に飛び込んだ中山氏らしい、塾生に向けてのメッセージだ。(小林知弘)
法学部ゼミナール委員会主催の講演会は11月21日13:50-15:00、西校舎ホールで行われる予定。