就職氷河期と言われる現在において、起業を考えている学生もいるだろう。そんな中、今回取材したのはSFC出身スタッフによる創業3年目の企業、ビヨンド・パースペクティブ・ソリューションズ(以下BPS)株式会社である。
BPSはウェブページの制作、SEO(サーチエンジン最適化)対策、システム開発などを中心としたIT企業。社長をはじめ社員・アルバイトのほとんどがSFC卒業生または現SFC生ということもあってか、社内はとてもアットホームで温かい雰囲気であった。
「社会に定着するサービスやシステムを世に提供し続けたい」という社長の渡辺正毅さんの考えが、BPS設立のきっかけである。一から企業を作り上げると決心して、自由の裏側には責任があることを思い知らされ、押しつぶされそうになったこともあった。
「真に楽しめることを実践し、最大のパフォーマンスを発揮できるフィールドがBPSにはある」と語るのは社員の馬場孝夫さん。アルバイトの野呂瑛利沙さん(環3)も「BPSの社員は親切で、いつでも質問ができるというところにSFCの特徴である自由を感じる」と、BPSの良さを語る。スタッフが気持ちよく働ける環境があってこそ、利用者にとっても最高のサービスが提供できるのだろう。
なぜBPSは数ある職種の中からITという分野を選んだのだろうか。SFCでは経営や法律からバイオ研究まで様々な授業が展開されており、プログラミングもSFCの必修の一つだ。しかし、社会やお客様が何を求めていて、どうすれば一番喜んでもらえるのかを考えながら、一つ一つ確実に実現していくことに意味があると気付いた渡辺さんは、サービスの開発に着手し、考えを共にした仲間とともに今のBPSを立ち上げるに至った。
「ITによるライフスタイルのデザイン」がBPSの企業理念であり、mixiやモバゲーと連動するソーシャルアプリ開発など新しい分野でのサービスを提供している。
起業したいと考えている学生は、決断を早まらないでほしいという渡辺さん。「本当にやりたいことを見つけて、一緒に実現できる仲間を見つけて、実力もある程度ついてから勝負しても良いのではないかと思います。起業する際には、必ず世界を変えてみせるという意気込みで頑張ってほしいです」。起業というのは決して簡単なことではないが、その魅力は無限大なのだろう。
「機会や仲間との巡り合いに困っていたり、何か私の経験で役に立てることがあったら、いつでも連絡下さい」
塾生時代に培った実学を基とし、社会で活躍しているIT企業BPS株式会社。今あるサービスに満足するのではなく、更なる向上を目指し続けている。
塾生の皆さんにもぜひ、自らの学んでいる事が今後の糧となることを改めて感じてほしい。 (武藤有果)