あなたは、「キムワイプ卓球」というスポーツを知っているだろうか。都内の大学を中心として謎の広がりを見せており、今年6月には慶大にもサークルが設立されたという。果たして、キムワイプ卓球とは何なのか。その実体を探るため、キムワイプ卓球の草分け的存在である、東京大学キムワイプ卓球会を取材した。
そもそもキムワイプとは、主に実験器具の清掃のために使われる拭き取り紙で、理科の実験には欠かせないものだ。キムワイプ卓球は、ラケット、ネットの代わりにキムワイプの箱を使い、その場にある机をコートとして行うスポーツである。研究者が実験の間の息抜きとして、研究室にあったキムワイプと卓球ボールを使って打ち合ったのがはじまりなのだという。
そのため、普通の卓球とは違い、ラリーを繋ぎながらコミュニケーションを深めることが主な目的である。キムワイプという科学的な共通基盤を持ちながら、息抜きの要素も備えているということで、キムワイプ卓球は「サイエンティフィック・スポーツ」に位置づけられている。
現在、東京大学キムワイプ卓球会には、約45人が所属している。メンバーのほとんどは理系だが、中には文系のメンバーもいるそうだ。意外なことに、卓球経験のないメンバーが半数以上だと、部員の一人は話す。普段の活動の他にも、キムワイプ卓球の戦術や競技の普及について考える研究会を行ったり、東大の学祭である五月祭ではキムワイプ卓球の研究会、駒場祭では大会を開いたりしているとのことだ。
キムワイプ卓球の概要について理解したところで、我々取材班も実際にキムワイプ卓球に挑戦してみた。キムワイプでボールを打ってみるが、思ったよりボールが飛ばない。ラリーを続けるためには、この「飛ばない」感覚に慣れることが大切だと感じた。キムワイプの握り方は自由なので、自分に合った持ち方を見つけるのも一つのポイントかもしれない。
一見ただの遊びのように見えるものに、研究会などを通じて真剣に取り組んでいる東大キムワイプ卓球会。彼らは、キムワイプ卓球に対するスタンスを「真面目に不真面目」と語っていた。あらゆる大学で「真面目に不真面目」な研究・実戦が行われているキムワイプ卓球が、今後さらに盛り上がっていくことに期待したい。