受験の季節がやってきた。この大勝負にあたって受験生諸君は長いこと準備をしてきたことだろう。努力を積み重ねてきた今、一番大きな相手は緊張だ。

今回はシステマ東京のインストラクター、北川貴英氏に誰でも簡単にできるリラックス法を聞いた。

システマは元特殊部隊員のロシア人、ミカエル・リャブコ氏が創始した武術だ。その特徴について、北川氏は「サバイブ」に主眼を置くところに他の格闘技との違いがあると話す。周囲の状況はもちろん、自分の体調や体格を含めたあらゆる条件において、「生き残る」ためにはどうしたら良いかをシステマは問う。そこから生まれた技術には私たちを悩ませる緊張を解きほぐす簡単な方法が詰まっているのだ。

それでは最初に、「受験当日にできるリラックス法」を紹介する。椅子に座って楽な姿勢をとってほしい。もしベルトなどお腹を締め付けているものがあったら緩めておこう。できただろうか。このときのポイントは「お尻からふとももにかけて椅子に接している面に均等に圧力がかかるようにする」こと。姿勢を正そうとして背中や首を緊張させてはいけない。呼吸は鼻から吸って口から「フーッ」とはきだす。呼気の方を長くすることを心がけよう。

たったこれだけだ。とても簡単なことだが、良い姿勢で適切な呼吸をすると、自律神経の働きを整え頭に血がのぼることを抑える。筆箱から鉛筆を取り出すなど一つ一つの行動を意識してゆっくり行うこともリラックスには効果がある。

続いては「自宅、ホテルでできるリラックス法」だ。仰向けに寝転んでみてほしい。そこから息を止めてグーッと手を上に伸ばしていく。足も下に伸ばすようなイメージをしよう。その後、体を緩めて先ほどと同じ呼吸法で回復をする。ここでポイントとなるのは呼吸を止めるときに「吸って止める」か「はききって止める」かだ。「吸って止める」方法だと覚醒に働き、「はききって止める」方法だとその反対に働く。夜寝る前と朝起きて会場に向かう前でそれぞれ使い分けるといいだろう。同様に息を止めてスクワットをした後、仰向けになって呼吸を整え回復するのもオススメだ。脚の筋肉を使うことによって頭に上った血液を下半身へと循環させてくれる。

「後ろ歩き」や「片手手袋脱ぎ」など一風変わったことにチャレンジするのも思考の偏りから抜け出すのに良いという。自分でも工夫してみよう。くれぐれも周りの安全と視線には注意するように。

もしこの記事を読んで少しでも緊張が和らいで満足な答案がかけたならとても嬉しい。4月に皆さんと日吉で会う日を心待ちにしている。
(田島健志)