震災を記録し風化を防ぐ
慶應義塾大学大学院経営管理研究科グローバル・ビジネス・フォーラムによる講演「都市と防災、データ・マネジメントによる総合的危機管理と地震電磁気学による地震短期予測」が先月26日、日吉キャンパス協生館5階エグゼクティブルームで行われた。
前半は防災科学技術研究所の主任研究員である長坂俊成氏が「データ・マネジメントによる総合的危機管理」という演目で講演した。東日本大震災が発生した後のボランティアや企業と共同で行ったITを用いる情報支援、アーカイブ活動の記録などを紹介。
長坂氏は「3・11まるごとアーカイブス」というサイトで、震災を風化させないために、市民から提供された映像や写真を記録している。これらの活動について、「災害を経験した立場だからこそできる支援を目指した」と語った。
「地震予知は十分に可能」
講演会の後半は東京大学名誉教授の上田誠也氏による「地震短期予測の可能性と防災」という講演が行われた。上田氏は「地震の予知は短期での予測が本命で、そのために前兆現象が必要」と強調した。また、地震学と地震予知学は違うものとしたうえで、「科学のステップを踏み、一定の予算と人員があれば予知は十分可能」と結論づけ、新たな予知研究のスタートを提案した。